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ハリケーン体験記 #5

 昨日と同様、荷物をまとめて2Fの広間へ向かったところ、たくさんの兵士が作業をしている様子が目に入ってきました。今日こそここから出られるかも知れない、と期待しながら待っていると・・・。

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ようやく (9/3/05)
 9時頃、医者が広間に入ってきました。病人や高齢者の問診や血圧チェックのあと、彼らをボートに移し、ホテルを出ていきました。そんなことが数回続いたあと、一般人の脱出が始まりました。

 健康な人なら数秒で動ける距離であっても、車いすを使っている高齢者には相当難儀な移動だったようで、レスキュー隊の人々も、彼らをボートに乗せるのに苦労していたようです。弱者から救出するのは当然なのでしょうが、そこで時間を使いすぎると、元気な人もへたってしまう訳ですから、いかに早く救出作業に取りかかれるかが極めて重要な気がしました。

 あと、いざ自分か救助される身になってみると、周囲をちょろちょろしている報道陣が目障りで仕方がありませんでした。むろん、真実を伝えることは重要なのでしょうが、写真を撮る暇があれば助けに来い、と言うのが、ホテルに軟禁されていた人たちの総意だったように思います。こればかりは、本人がその立場に身を置かない限り理解できないことだと思いますが・・・。

 

上陸(?) (9/3/05)
 たどり着いたのはスーパードームのすぐそば。久しぶりに芝生の上に立つことができました。普段だと当たり前のことですが、水攻めを食らうとこんな事でもうれしくなってしまいます。
 しかし、ハリケーンの被害にあった一部の建物を見てびっくり。ほとんどのガラスが割れている建物があるなど、もはや人間が住めるような状況ではなくなっていることを初めて知りました。

 比較的安全なスーパードームのそばまで来たけれど、それでも、ドームに向かう途中には水深6〜70 cmの道を横切らねばなりませんでした。私にとっては大きな問題ではなかったけれど、大きな荷物を持つ人や、子供たちにとっては大変な移動だったに違いありません。

 

スーパードーム (9/3/05)
 ようやくドームにたどり着きましたが、ここもすごいことになっていました。数日前までここにいたであろう人々が残していった洋服や毛布の山が至る所に築かれていました。また食料品の残骸やらなにやらで、周囲一帯は悪臭が立ちこめていました。
 なお、スーパードームの内部を見る機会がありましたが、グランド内も浸水しているようでした。ドームの屋根などもかなりの被害を受けたことを考えると、今シーズンのNFLで使うことはほぼ不可能、最終的には、大改修が必要になるような気がします(そもそも、チームはフル参戦できるのでしょうか?NCAAFのLSUもしかり・・・。)。

 ドームに駐留している兵士の一人はオハイオから派遣されてきたとのこと。その彼に、小銃に加えライフルを持っている理由(ライフルで人を撃つ機会があるのかと言う意味で)を尋ねたところ、よく分からないけれど・・・と言う返事が戻ってきました。ただ、彼曰く、今日は平和だけれど、前日は色々と小競り合いがあったそうで、暴動鎮圧のためにはライフルの携帯もやむなし、と言うことのようでした。
 とはいえその数日後、警官が避難民を撃ち殺したと言う事件が起きたことを考えると、こういった非日常的な環境では、手が付けられなくなるほど暴徒化する人も少なからずいることがよくわかります(そして、時に、連鎖反応を起こすので・・・)。

 

司令部 (9/3/05)
 ここが司令部なのかどうか定かではありませんが、ヘリポート(駐車場)の下は、ちょっとした事務所のようになっていました。そのそばには、パラボラアンテナや、おそらく通常は戦地に持っていくような食料がありました。

 まぁ、何はともあれ、スーパードームにも別れを告げ、次の待ち合わせ場所のホテルに向かいましたが、これでNew Orleansから出られる・・・と思ったら大間違い。これから先も、色々な障害が・・・(つづく)。

 

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