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Saudi Arabia 訪問記 #2

 現地で聞いたり感じたこと(あまり研究には関係のない話)を忘れないように書き留めておきます。無駄な知識でしょうが、行かねば知ることもないような話も多かったので・・・。

[訪問記 #1] [訪問記 #2]


サウジ料理
 お約束の料理の写真・・・、と思ったのですが、最後の最後まで、何がサウジ料理なのかよく分かりませんでした(アルコールなんてもってのほかですし、豚肉も食べられませんが)。予想に反し、基本的には、眉をひそめたくなるようなものを食べることもなかったので、食事に関しては、大きな不満はありませんでした。ただ、滞在期間が長引けば、ビール禁断症なんて物が出てくるかも知れませんが。

 

 大学内には、建物ごとにコーヒーショップがあると言うことなのだが、行ってみると、どこもインスタントコーヒーしか出さない(自分でその場で作る、一杯30 円ほどだったかな)。まともなコーヒースタンドが一つあるので、後半はそちらへ行くようにしたのだが、コーヒーの味がちょっと変わっている。使われている水が、若干の塩分を含んでいるためだそうです。

その他の写真
 ほとんどの時間は、大学かゲストハウスにいたので、一般市民がどんな生活をしているのかまでは探れずじまい。それでも、ショッピングモールの中から、裕福層の生活を少しだけ見ることが出来ました(そこで売られている物の値段は、大衆の平均的な収入からすれば高すぎるので、金持ちか外国人向けだろうとは同行してくれた学生の説明)。

 

 聞くところによると、週末のモールはファミリー専用なのだそうだ。女性は一人で外出することを禁じられているので言わずもがなだが、平日ですらモールの入り口で男性一人客が入店を妨げられている様子を見てびっくり。

おまけ(でも結構長い)

  • 大学の学生はインド人やパキスタン人が多いとのこと。問題なのは、彼らは、ここで仕事を見つけるのが目的のため、まじめに研究をしないのも多いらしい。結局、大学が学生に投資をしている割には、質の高い学生の数が少ないのが問題だと言っていた。

  • 現地人と外国人、どちらが優秀なのかと聞いたところ、学部生の多くはサウジ人だが、院生は大半が外国人なので、単純比較は出来ないという。ただ、エジプト出身の先生曰く、同じような講義をサウジとエジプトでしたところ、エジプトの方が成績が良かったとのこと。こちらの大学では、学生も厚遇されているけれど、それが必ずしも学力向上には繋がっていないんじゃないかと言う説が印象的だった。

  • 学内の色々なラボを見た限り、それなりの研究をするだけの装置は揃っている模様(動いてない=ちゃんと管理されていない装置もかなりあるようでしたが・・・)。ただ、全てのラボが、必要な装置を備えているわけではないので、貸し借りが出来ているのかどうかが問題でしょう。意外に縄張り意識が強いようにも見受けられたので。

  • サウジの大学はお金を持っていそうだと思ったが、試薬の注文から配達まで、数ヶ月かかるのだそうだ。これってベトナムと変わらないじゃないか、と思ったが、注文するまでに、沢山のサインをもらわねばならないと聞き納得。まさにベトナムと同じ状況でした。

  • ちなみにある若手の先生が半年間のプロジェクトのために、研究費を使いワークステーションを買おうとしたのだが、結局それが手に入ったのは、プロジェクトの終了した7 ヶ月後のことだったらしい。

  • サウジの王族も、最大4人までしか奥さんを娶れないとのこと。以前は、お手伝いさんという名目で、それ以上抱えている人もいたが、先代の王様の代で、それも禁止されたそうである。ただ、これらを額面どうりに受け取っていいかと言えば、そうではない。気に入った女性が現れると、一番嫌いな奥さんと離婚してしまうのだそうな。

  • 離婚された女性は、王族の秘密など知りすぎている事も多いため、一生、隔離(?)されたまま暮らすことになるようである。金銭的には不自由することはないが、生涯再婚することは許されていないので、長い目で見たらどっちがいいんだろう、というのは現地の人の話。

  • ここの大学が設立されたときは単科大学だったそうだが、今は総合大学に格上げ(?)されているらしい。国内にどれくらい大学があるのかと聞いたところ5-6 年前までは7-8 校だったが、今は30 校ほどまで増えたとのこと。なお、全ての大学に王様の名前が付けられているわけでもなく、私立大も存在するらしい。

  • KFUPM の工学系にはおよそ10000 人の学生がいるらしいが、化学系は教養部のみ。結局、金になる(卒業後仕事がすぐに見つかる)ところが大きくなるようである。

  • 大学の隣にはサウジアラムコという巨大な石油会社がある(大学のスポンサーでもある)。どういう訳か、会社の敷地に入るにはセキュリティーをパスせねばならない。その敷地の周囲には、刑務所を連想させるような壁があり、部外者が進入できないようになっている。

  • その内部は、普通のサウジアラビアとはちょっと違い、かなりアメリカ的になっている。女性も車の運転をしているし、黒装束を着ていない事も多いとか。確かに、敷地内では女性も働いていましたな。そうなっている理由の一つは、そうしておかないと、海外から着た研究者が国に帰ってしまうからなのだそうだ。

  • 案の定と言ってしまえばそれまでだが、ネット接続の環境は悪い。遮断されるようなサイトではなくても、2-3 回リロードしないと繋がらないことはざら。大学のネットワークに繋がっているからかも知れないが、VPN 接続は繋がらないし、FTP もダメ。色々設定を変えればいいのかも知れないけれど、短期滞在の素人にとっては、これを解決するのはちょっと難しい。

  • サウジの人を注意深く見ていると、意外に太った人が多いことに気付く。その民族衣装のせいでごまかせているんだろうけれど、肥満率は高そう。

  • こちらの学生のおよそ80% は白い民族衣装を着ているらしい。なお、エジプト出身の先生に言わせると、エジプトでは、家でリラックスするときに着る物らしい。と言うのも、彼がサウジに来た直後、祝日に学部長と会った際、彼が白装束だったのを見て、今日は休みの日だからそんな格好をしていると感じたそうだ。で、翌日も学部長が同じ格好をしているのを見て、今日は授業がないからかと想像していたとのこと。でも、すぐに、これが、サウジでは一般的な服装だと気付いたそうだけれど。

  • 多くの先生がアラビア語を話しているので、彼らがサウジ人なのかどうか私にはなかなか区別がつかないのだが、色々話を聞いていると、エジプト、ヨルダン、チュニジア、イラクなど、周辺の様々なアラブ国家からサウジに来た人も多くいるようである。彼らに、サウジ人かそれ以外かを区別できるかと聞いたところ、白装束の人はかなりの確率でサウジ人だとのこと。あと、話しをしてみれば、アラブ語の微妙な違いから判断できるとも言っていた。

  • ちなみにヨルダンで育ったボスが大学に来た時、何語で話しをしたのかと聞いたところ、アラブ語で話しをすることも多かったそうである。ただ、大学では英語が共通語化(授業は英語らしい)しているので、結構混ざっていたとか?

  • エレベーターの中で偶然にも日本人の先生に会いました。今は名誉教授だが、年に一月ずつ三回、日本から派遣されてきているのだそうだ。地球の温暖化は信じていないと、私に似たような考えをお持ちで・・・。

  • こちらの大学では、PD を一年やった後にassistant professor として雇う事も結構あるようである。でも、色々な先生の肩書きを見ていると、教授になっている人は意外に少ないような気がするのは気のせいか?昇進するスピードが遅いと言うよりは、日本のような講座制を取っているからと言う気がしないでもないけれど。

  • サウジの一般的な休日は木金なのだが、お隣で共同研究をしているサウジアラムコの週末は欧米と同じく土日。結果的に、仕事に関して話が出来るのは週に3日しかないのだという。一部には、サウジの週末を金土に移そうという考えている人がいるようだが、未だに実現はされていないようである。

  • 業績評価をする場合、単純に論文数を数えるとのこと。論文の質や、引用回数を調べることもあるが、基本的に数重視とは、昔の日本と同様。最近の日本は変わりつつあると思うけれど。

  • 今回の滞在中、色々な先生に、こちらに長期滞在しないと誘われた。表だって、イヤじゃ、とは言えないので、日本人らしくのらりくらりと言い訳を並べることに。ただ、仮にまた来るとしたら、(セミナー以外に)簡単な講義を押しつけられそうな雰囲気を感じずにはいられなかった。その準備を考えたらちょっと・・・。

  • サウジには映画館がないらしい。どうしても映画を見たい人は、週末にバーレーンへ行くとのこと。衛星放送が視聴できる時代ゆえ、その手の政策は些か時代遅れにも見えるが、外来文化を制限しているのだろうか(宗教的な側面もあるように思うが)。映画館の有無との関連までは知らないが、モールにも、本屋やCD 屋はほとんど無かったような気がする。

  • 1990 年頃は、テレビのチャンネルも二種類しかなかったそうである。今は衛星放送が視聴できるので、それなりにテレビを見ても楽しめると思いますが・・・。なお、私がチャンネルを変えた感じでは、ニュースとスポーツの他にも、アニメや海外ドラマ(おそらくトルコから?)が流れていました。

  • 私のいた所は、海にも近いので、比較的水が豊富な場所だったが、内陸部はそうとも限らない。面白いことに、リヤドから来た人はバーレーンとの国境(つまり海)で、水が怖いと言っていた・・・なんて話が。

  • アラブ諸国から来た人でも、サウジの文化は実際に見ないと分からない事が多かったと言っていた。東京と大阪の文化の違いを考えれば、無理もないことですが。

  • エジプトでは働きすぎるとミスをする回数が増え、それにより罰せられる可能性が高まると考えるのだそうだ。つまり、必死には働かないのが国民性と言うことなのだろう。

  • 近年の淡水化技術の進歩により、大学周辺では水の使用量が飛躍的に増えているらしい。驚いたのは、これが降水量の増加と繋がっているようで、古い降水量の基準で建てられた大学の建物では、雨漏りが起きるようになったのだそうだ。もちろん、手抜き工事の確率もあるのでしょうが・・・。

  • サウジの空港でお土産を探したのだが、それらしき(サウジらしい)ものがほとんど見あたらなかった。これは観光客が来ない事に起因しているのだろうか?巡礼用のビザはあっても、基本的に入国制限をかけている事を考えれば、おみやげという需要自体がないのでしょうな。

  • 女性に話しかけてはいけない(つまり、女性は父親や配偶者以外の男性とは接触しない)と言うのがこちらの流儀だけれど、目の前で落とし物をした人がいても何もそれを伝えることすら出来ないというのは・・・。

  • KFUPM では、博士課程にいくと卒業後に何らかの義務があるようで、それを避けるために修士課程を卒業した後に、海外に学位を取りに行く人が多いとのこと。特に、修士課程をスキップし、短期間で博士が取れる国(オーストラリアなど)が人気なのだそうだ。

  • なぜかサウジ国内にいた時には、iPhone の時刻が10分ほどおくれていた。何か理由があるとしか思えませんが?

  • 帰国後、飛行経路を確認してみたが、はやり遠かったんですな。もっとも、アメリカからの時差と言う点ではベトナムと同じなのですが。
 

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