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不定期日記(今月の毒舌)

〜今月の毒舌〜

 渡米直後の紀行文のような日記とは異なり、ここのところ毒を吐く頻度が増してきたように感じます。その毒の数もだいぶ増えてきたので、「今月の毒舌」として、不定期日記の中から選び出すことにしました。ただし、所詮はahoaho 研究者の戯言ですので、マジレスは厳禁。ただし、どうしても、文句を言わずにはいられなくなった場合は、メールアドレスを用意しておりますので、常識の範囲内(感情論厳禁)でコメントをお願いします。


<< 不定期日記

December, 2023
    とある国(日米ではない)のPD 向けのフェローシップの応募書類を審査するように頼まれた。経歴は立派なのだが、今までの専門と今後の研究計画にかなりの違いがあるため、提案された研究内容は杜撰。こう言うのは、受け入れ側の先生が事前に目を通しておくことで、ある程度は防げるはずなのだが。恐らくは優秀なPD なので、これは少し残念。◆それとは別に気になったのは、応募書類の評価基準を見るに、研究の独創性が重要ではなかった点。スポンサーごとに色々な考え方があるのは分かるが、多少配分を変えた方が・・・。

November, 2023
    最近取ったデータを解析しているのだが、(諸事情?により)十分な量のサンプルが用意できなかったため、案の定、データの質も低レベル。測定と解析に倍以上の時間をかけても、倍のサンプルを用いて測定した結果にはるかに及ばないと悲しくなりますな。自分でサンプルを作っているわけではないので偉そうなことを言えた立場ではないが、最終的に論文にする段階で怪しいデータが紛れていると、碌なことにならないのも事実。とは言え、世の中にはそんなデータを使い、断定的なことを言ってしまう人が少なからずいるんだけれど。

October, 2023
    物は試しに、学部生にプロジェクトのレポートの下書きを手伝ってもらった(彼が実験を行った部分だけなので図を含めても1 ページ)。学部生にしては優秀だが、スライドなどを見ると、些か独りよがりの面があるので、あまり期待していなかったが、およそ予想通りの出来栄え。何度か書いているうちに、どのようなものを求められているか理解し、書き方のコツをつかんでくれるはずだが、これができないと、卒業までに自分で論文を書く、という彼自身の野望を達成することは不可能。次回はもう少しいい出来栄えになることを期待・・・。

September, 2023
    とある公募の応募者の中から面接予定者を選ばねばならないのだが、応募書類に目を通すだけで結構な手間に。そのような状況では、書類の見映えも重要だと言わざるを得ない。と言うのも、妙に詰め込んでいたり、趣味(?)のフォントを使っために読みづらいものや、フォントがバラバラだったり、誤植が多いものを提出した人が一次選考を通過することはまずないので(つまり、中身もそのレベル)。体裁の整った書類を作る人は、レベルの高い大学で有名論文誌に投稿した経験があると考えれば、当然の理であるとも言えそうだが。

August, 2023
    数年前に執筆を依頼されたものの、結局は受けなかった総説が、他の人々の手によって世に出ていたことに気づいた。関連分野を眺めた感じでは、一応総説っぽいが、(私が考える)重要だと思える点に必ずしも焦点が当てられていなかったのは些か期待外れ。そこまで言うなら自分で書け、と言われそうだが、労力に比べ見返り(人目に触れ引用される回数)の少ない総説は、優先順位をつけるなら、かなり下にせざるを得ませんからな。ただ、執筆者に感想を伝えようものなら友達がいなくなるので、これは見なかったことにしておこう。

July, 2023
    某プロジェクトがらみで最近バークレーにやって来たPD に、プロジェクトの概要等を説明することに。以前は、わざわざそのような機会は設けなかったのだが、ここ数年でプロジェクトの方向性が大きく変わったのに、彼の前任者がそれをほとんど理解していなかった(または無視していた)ため、ゴールに直結しない研究に時間を費やされても困る、と念のため、釘を刺すことにした。もっとも、彼のラボの研究内容(専門性)からすると大した成果は期待できないが、レポートやミーティングの直前に言い争いをするよりはいいでしょう、きっと。

June, 2023
    産総研の中国籍研究員が情報漏洩により逮捕されたそうで。こう言っては何だが、こんなの氷山の一角でしょう。◆コメント欄を見ると、案の定、中国人の雇用を止めろなどと書いている人が多くいるが、留学生(そして卒業後日本に留まった研究者)を雇用しないと、十分な労働力が確保できないのも現実。アメリカの国研でも、かなりの数の中国人が働いているし、身元調査で怪しい人をすべて見つけられるとは思えない。◆近年はやりの多様性に逆行し、情報の機密性を高めるなら、防衛省の下に基礎研究所を作るしかないのかな。

May, 2023
    Twitter に古き良き時代のSF を映した動画が出ていた。どこで撮ったのか私にも分かる場面があるという事は、その当時から町並みは大きく変わっていないという事か?◆ざっと見る限りでは、ホームレスっぽい人は見当たらないし、治安もそれほど悪くは無さそう。当時は住みやすい場所だったのだろう、きっと。◆WWII 前から豊かだった事を実感するには十分な映像だが、昨今の状況を鑑みると、歴代の市長はどこでかじ取りを間違えてしまったのかと言わざるを得ない。無駄に意識高い系の活動家人々の暗躍だけではなさそうだが。

April, 2023
    学会ついでに立ち寄った共同研究者がサンプルを置いて行った。面白い化合物ならいいのだが、理論屋が中途半端な理解に基づいて見つけ出した化合物ゆえ、普通の実験屋が見れば、測定してもほとんど意味をなさない事はほぼ明らか。予算をもらっている以上、報告書だけは仕上げねばならないのは分かるが、巻き込まれる方の身にもなって欲しい(再現性の確認のために海外の研究機関にも測定を依頼せねばならないらしいが、こちらに研究費や消耗品費は流れてこない)。時間をかけずにとっとと終わらせるしかないですな。

March, 2023
    今週は新大学院生を勧誘するためのvisit weekend である。端的に言えば、他の一流大学からも入学許可を得ている学生に、自分たちのラボへ来るよう唆す儀式。こちらでは優秀な学生の確保が死活問題になるため、(入学前の?)学生の立場は、日本よりは格段に良さそう。◆彼らを見ていると、同窓とのつながりをうまく利用しているようで、これがさらにネットワークを拡大させることに寄与しているように感じる。これが将来的な格差の固定化につながるとまでは言わないが、学歴(やPhD )がないと生き残れないのが現実でしょうな。

February, 2023
    ユニオンからのメールに、ストの妥結結果を受け、大学側が人件費を圧縮するために、クラスのサイズを増やす(TA の数が減る)、大学院の定員を減らす、再任用を控える、などの手段を選ぶのは不当だと書かれていた。いやいや、今更何を言っているのか。予算総額は変わらないのに人件費が増えるなら、頭数を減らすしかないし、大学側がストの妥結前に、そのあたりの算段を整えていないはずがない。ユニオン側は大学側の努力や誠意が足りないと言っているが、足りないのはユニオン執行部の頭のような気がしてなりませんな。

January, 2023
    トヨタはEV に興味なさそうと言った話を耳にするが、その度に日本ではやっていけても(ハイブリッド車だけでは)欧米に通じないように感じる。もちろん、EV にも充電用のインフラ整備、バッテリー性能、価格など問題はあるが、先日乗ったUber の車が、行きも帰りもEV だったことを考えると、CA 州を含む一部の地域ではEV 化に抗うのはもはや不可能。白物家電や半導体業界と同じ運命をたどることを避けるには、資金に余裕があるうちに、EV 関連の投資・研究を進める必要があるのではなかろうか(既に手遅れという説もあるけれど)。

December, 2022
    政府系予算で動くプロジェクトに関連したTwitter アカウントがあったのだが、最近のElon Musk の声明を聞いたプロジェクトの執行部は、研究と政治を切り離すためアカウントを削除したらしい。なるほど、ツイートから政治的な要素を排除したいのは分かるが、それまでのTwitter が事実上検閲を行っていたことを考えると、執行部の決定もElon がやっている事と大差ないのではないんですかね。CA 州らしいと言えばそれまでだが、些か行きすぎたリベラルを無批判に基準にしてしまうことの方が問題だとは思わない・・・、のでしょうな。

November, 2022
    賃上げを求めて一部の学生やPD が大学の門の周りなどを緩く閉鎖中(ストライキ中)。現在の給料でやりくりするのが難しいことは分かるが、大学側は賃上げ交渉に応じる事すら難色を示している。そもそも、大学の予算総額が倍増することはないので、仮に今回の交渉で賃上げを勝ち取っても、来年以降、何らかの形で人員整理(含む新規採用の凍結)が行われる未来しか見えない。ユニオン執行部はどう考えているのか?大学が間接経費の割合をコロナ前に戻してくれれば、若干の給与の上乗せは可能だが、難しいのですかね。

October, 2022
    某雑誌の編集部から、ML により高性能材料を予想した、という論文の紹介メールが送られてきた。雑誌のレベルを勘案すれば、大したことが書かれていないのは想像できたが、案の定、トップランクと評された化合物のリストを見るに、合成の易しさや材料の安定性が全く考慮されていないようだった。まさに、Garbage in, garbage out を地で行くような成果。もっとも、ML で予想される高性能化合物の多くは既知の材料という現状を鑑みれば、少なくとも材料設計分野では、AI が人間の作り出す偶然に並ぶのはもう少し先になるであろう。

September, 2022
    日本の某大学では中国人留学生の割合が総留学生に対し2/3 にも上るらしい。私がいた頃から沢山の中国人がいたのは事実だが、図を見る限り、当時の比ではなさそう。実際、韓国人の割合が相対的に激減しているので。◆大半の留学生は祖国に帰るのかもしれないが、日本に留まる人もそこそこいると考えれば、日本のアカポスの結構な割合が、遅かれ早かれ彼らに持っていかれるのではなかろうか。授業が中国語になることはなかろうが、教育機関が外国人に乗っ取られる可能性について、文科省は考慮しているのだろうか。

August, 2022
    CA 州は2035 年までにガソリン車の新車販売を禁止することにしたらしい。その意図はわかるが、法案を作った人にはベイエリアのお金持ちしか目に入っていないように思う。新車限定なので、お金に余裕のない人はガソリン車に乗り続けるという選択肢はあるが、現状の技術(含インフラ)のままガソリン車をEV もしくは燃料電池車に置き換えると、エネルギーの消費量(発電量)はさらに増えるだろうし、車の販売数に見合った安価な電池が簡単に用意できるとも思えない。壮大な社会実験の一言で切り捨ててしまえばそれまでだが。

July, 2022
    今回の参院選、誰が当選するかほぼ確定していたので、最後の議席を取りそうな候補者の妨害を試みたものの不発。投票したい候補者もいないので、特定の候補者の票を一つ減らすための投票ができたら、と思わずにはいられない(投票率も上がるはず)。◆有名人を比例代表の名簿に連ねた政党が乱立したが、彼らが当選しても、それだけで今後に繋がるとは思えない。政権担当能力があることを示せねば、いずれは旧民主党と同様の運命を辿るはず。際物に未来を託すには勇気がいるが、政党側はどう考えているのだろうか?

June, 2022
    節電で(世帯当たり数十円程の)ポイント還元、って面白そう(ウソ)。予想通り、岸田さんからは場当たり的な対処法しか出ませんな。そもそも、発電と送電部門を切り離し、電力の安定供給に寄与しない再生エネルギー事業に補助金を出していれば、燃料費が高く二酸化炭素を排出する火力発電所を電力会社が積極的に動かす理由が見あたらない。原発再稼働すら決断できない政府だが、彼らが考えるべき事は、節電の要請ではなく、この辺りの構造的な問題を緩和すべき手段のはず。支持率が高いうちは何もしないと思うけれど。

May, 2022
    久々に話をした旧メンバーによると、DOE のプロポーザルの評価をすると幾らか手当がもらえるそうである。私が過去に依頼を受けた際には何もなかったと言うと、どうやら、国研に関わっている人には謝礼は支払われないらしい。山の上のラボから給料をもらっているわけではないのに、こんな時だけ関わりを強調されても納得できるものではありませんな。もっとも、ラボ向け(大学からは応募できない)の予算申請の機会の有無を考えると、間接的(つまり、自分のポケットにお金は来ない)にはお世話になっているとも言えるのですが。

April, 2022
    今年もまたアパートの契約更新の時期がやってきた。ここ数年家賃は据え置かれていたものの、昨今の急激なインフレを考えると、幾らか上がるだろうというのは想定済みで、私の関心はその上昇の度合い。家賃が元々高止まりしているのもあったが、計算してみると、上昇の割合はおよそ1.7% だった。このくらいならば文句を言わずに受け入れねばならない額なのでしょうな。◆しかし、よく考えると、入居してからの家賃の増加分の総額は$1000。この辺りの学生向けの賃貸物件も、過去10 年ほどで同じように値上がりしたのだろうか。

March, 2022
    iOS のアップデートにより、マスクを着用したまま画面のロックを外せるようになったそうである。しかしこの機能、Apple がその気になっていればコロナ開始後数ヶ月で実装できたのではないかと言う気がしてならない。今頃になってそのような機能を付け加えたのは、特許申請がらみで遅れたのか、それとも多くの社員がリモートワークだったために、マスクを着用し外出する事が少なかったからなのか?最新の数機種(iPhone 12-13)のみ対応と言う事なので、技術的な理由があった可能性もあるのだろうが、色々と邪推したくなりますな。

February, 2022
    アカデミックの研究者のユニオンからのメールによると、UCB の総長の給与は$56k 上がり、$637,798 にもなるらしい(このほかに公邸もある)。UC の分校の総長の給与も6-28% 上昇し、その上昇分の総額は約$800k だという。トップが強欲に昇給を得ているのに対し、アカデミックの研究者の多くは給料の3 割以上を家賃に支払わねばならない現状はおかしい、と言うのがその主張。◆問題は家賃の割合ではなく、給与が年間に6-28% 上がる一握りの人には、大多数のそうでない人の状況を敢えて無視している事のように思うが・・・。

January, 2022
    最近、某省庁が比較的大きなプロジェクト研究を公募している。それに関連し幾つかの大学の先生方とミーティングがあったのだが、話は少し予想とは違う方向に。と言うのも、研究内容に関しては比較的簡単に纏まったのだが、チームリーダーのなり手がいない。皆さん、色々とそれっぽい理由(?)を付け、押しつけあっている。挙げ句の果てには、チームには○○の専門家が必要で、そのような人物をリーダーにすべきではないかと言う話に・・・。準備期間はそれほど長くないというのに、そんな都合のいい人が見つかるのだろうか?

December, 2021
    今更ながら、ビル・ゲイツの環境本を聴いている(邦訳)。彼の主張に100% 同意する訳ではないが、数字に基づいて話を進めているので安心して聞いていられる。感情にまかせたかのような主張を繰り返すG さんとは違いますな。◆本当にCO2 排出量を減らすには原子力の必要が不可欠だが、彼も認めるように、現状では原発の新設はほぼ不可能。放射脳人間をどう納得させるかだが、日米とも現政権には無理。結果として、早晩「炭素税」を課せられるのであろうが、放射脳の方々のために私の支出が増えるなら理不尽な話である。

November, 2021
    武蔵野市長が推す外国人に住民投票権を与える条例案が話題になっていたが、東海岸に住む左巻きの方々も似たようなを考えていたらしい。それによるとNYC で外国人が地方選挙に参加できるようにするための予算を請求しているようだが、参政権はアメリカ市民に限定すべきで、投票したければアメリカ国籍を取るべきだと考える人々によって反対されている模様。国民を移住させ、数100 年かけてその地域を支配下に置けばいい、なんて考えている国があったらどうするつもりなのか。かの国ならやりかねないと思うのだが・・・。

October, 2021
    旧メンバーに依頼され、彼が企画したシンポジウムで講演することに。現地へ行けたら良かったが、さすがにこの状況では非現実的で、発表は当然オンライン。適当にスライドを作って話すだけ、と言えばそれまでだが、聴衆の反応が全く分からないのはやりにくいですな。ただ、三人目の講演者がスペイン語で話をした時だけチャット欄に多くの質問が現れたことから察すると、難しい話はしないように心がけていたとは言え、それなりに理解していたのは座長(= 友人)とほんの一部だけだったように思える。Berkeley じゃないからねぇ・・・。

September, 2021
    PC との通信を絶った装置、製造元のエンジニアの助言を元に調べたところ、電源部の基盤が壊れていたことが分かり、ようやく交換することが出来た。出張修理を依頼すれば(数週間余計に待つことに加え)100 万円前後になるので、時間と研究費の節約という意味では有益だったのだろうが、普段使わない装置のために余計な仕事をせねばならないのは納得しがたい。研究費を節約してもボーナスは出ないし、使い方が荒い奴が一定数いるので・・・。修理に要したのは正味1 日なので、細かいことで文句を言うなと言われそうだが。

August, 2021
    某省庁がHydrogen Shot Summit なる物を開催。ネットには有名人も話をするような事が書かれていたので、よくそんな多忙な人に依頼したなと思ったが、実際のプレゼンは録画された物だった。某省庁の長官はリアルタイムだったようだけれど。◆Biden 政権になってからのこの新企画、その意図は分かるが、現状ではCO2 の排出量が減る可能性はゼロ。と思っていたら、環境系の仕事をしている人からもそのような話が出ていました(当然?)。◆脱炭素へ向けた取り組み、日本も程々にしないと経済を破壊して終わるような気が・・・。

July, 2021
    CA 州における銃の売り上げが昨年に比べ65% 増加したらしい。控えめに見ても、最近の行きすぎたリベラルの動きと関連がないとは言えないでしょう。Biden 政権になり、いわゆるTrump 憎しのような報道が減ったため、日常生活に平和が訪れたような錯覚に陥ったのは束の間。現実は、徐々に悪化する治安とそれに備える人々(含、転出者)の増加を生み出しつつあるのだろう。ポリス解体が本格的に進めば、州の銃保持に関する法律によらず、自衛を考える人が増えるのは当然の理だが、気付いた時は手遅れになりそうな予感が。

June, 2021
    このサイトに出ている国別のワクチン摂取状況(対数における摂取率の傾きの大きさ)を見て、日本もやれば出来るとコメントしている人がいた。確かにごく最近はそうなのだろうが、見方を変えると、何をやらせても他国に比べ初動が遅れがちとも言える。ワクチン接種が進まなかった一因は、致死率が低かったこかもしれないが、日本人は往々にして想定外の問題への反応が遅れがちという問題から目を背けていい理由にはならないだろう。他国の真似は上手に出来ても、それだけでは強い競争力を維持できる事には繋がらないので。

May, 2021
    日本語で検索中、学部時代に教わった記憶のある(講義の中身は何も覚えていない)先生の書いた文献(1964 年)に出会った。文末にアメリカの大学院学生に関するコメントがあるが、そこに書かれている状況が現在の学生にもかなり当てはまるように思う。察するに、その教育システムや卒業後の進路など、半世紀以上、大きく変わらなかったのだろう。現在の日本の教育環境には明るくないが、こちらも相変わらずなのだろうか。アメリカにいると日本の教育システムの欠点が目につくだけに、その将来が些か心配になるのだけれど。

April, 2021
    UA が、人種や性別が公平になるようにパイロットを採ると発表したそうで。当然、普段はdiverisity を支持する側の人からも反発を食らったようで、能力や技能に基づかないパイロットが運行する機体は危険だから乗らないといった書き込みがあちらこちらに。ついて行けませんな、この手のやりとり。EDI などときれい事を並べるUA も褒められた物ではないが、人種と性別を重視して採用しても、試験に合格できないパイロット3 人でB787 等を操縦する事はありえない。それに、機体整備士だって能力で採用されているか分からないのでは?

March, 2021
    某省庁がごく最近発表したFOA に対するプロポーザル、研究機関に付き二つのグループまで応募可能ということで、大学と山の上のラボの両者に内部選考用の書類を今日までに送るよう指示された。以前に作成し(たものの採択されなかっ)た似たようなプロポーザルを修正し提出したが、準備期間も短く大変だった。そもそも、アナウンスから三週間弱で研究概要の提出なんて、事前にチームを組み、予備実験を始めていないとできる訳がない。省庁側も、もう少し、その辺りの現実を見極めるべきだと感じるのはわがままなのだろうか?

February, 2021
    既に公開されている論文に対する公開質問状のような書き物の査読依頼が舞い込んできた。この手の物の査読依頼は初めてだが、原著と査読対象物のと、二つを精読せねばならないので損した気分(実際の長さは、総説の査読に比べれば極めて短い)。ざっと見た限り、質問者は出版された論文が自分のエリアを冒していることにいらだっている模様。査読時に考慮するのは科学的意義だろうが、二組の研究グループの関係が気になって仕方がない。敵対グループがこの手のコメントを投稿するのは、決して珍しい事ではないので。

January, 2021
    大学からのメールによると、コロナ用のワクチンが届いた模様。まずは、大学の医療関係部門の職員等、その後は、感染リスクの高い人や高齢者を中心に接種するとのこと。私の所に回ってくるのは夏かな。◆UCB はこの秋から、対面授業をメインにするそうで。感染リスクなど色々問題はあるだろうが、根絶はほぼ不可能となれば、どこかで折り合いを付ける必要があるのは事実でしょう。◆ちなみに、レストラン等の閉鎖は、この辺りの感染者数の減少に大して役立っていないようで・・・。問題は無思慮な人々の存在なのでしょうな。

December, 2020
    先日、査読の締め切りが近づいているというメールを送ってきた某雑誌にコメントを送ろうとリンクを辿ったところ、もう必要ないという画面が現れた。おいおい、この二日間でどれだけの労力を費やしたと思っているのか?論文の感想を頭に抱くだけなら難しくはないが、レポートとしてまとめるのは意外に面倒。十分な査読結果が集まった時点で、断りのメール位は送るべきでは?今後、その雑誌から依頼が来たら絶対に断ろうと心に誓ったことは言うまでもない。でも、私は心優しいので、reject コメントだけは編集部に送っておきました。

November, 2020
    学内の建物にはたいてい大学に所縁のある人物(昔の教授や多額の寄付をした人)の名前が付けられているが、その幾つかの名称を変えようという動きがある。大学のメールによると、LeConte とBarrows Hall の名称を近々抹消するとのこと。両者とも大学に多大な貢献をしたのは事実だが、実家のプランテーションで奴隷を使っていたり、彼らの行きすぎた人種差別的発言が、アフリカ系学生の不興を買ったようである。その行動、確かに現在の価値観にはそぐわないが、その名誉を剥奪するため、どの時代まで遡るべきなのだろうか。

October, 2020
    CA 州を含め、一部のリベラル州から住民が流出しているらしい。(テレワーク関連ではなく)行きすぎたポリコレに嫌気が差し、比較的まともな共和党系の州に移っている説を耳にしたが、驚いたのはその続き。リベラルの人は移住後も再び元いた州のような政策を推す政治家に投票するため、結果的に多くの州を破壊する事に繋がるとか。◆この国は政策等が極端に振れるきらいがあるので、揺り戻しが来るのは、時におかしな事態になった後。住民が極端な意見を拒絶すれば、二大政党制であっても二極化は緩和できそうな物だが。

September, 2020
    SF にいるクスリの売人の半数はホンジュラスからの不法移民で、密売を止めると祖国にいる家族が殺されるため、密売を止められないそうである。そんな状況を知るSF ポリスも彼らに厳罰を加えないので、薬物の蔓延が止まらないらしい。薬物はホームレスや治安悪化と密に関係するので、SF 市民でも何でもない不法移民の家族を助けるために地域の治安を犠牲にする必要性はどれ程なのか?リベラルの言うきれい事が分からない訳ではないが、SF の薬物と治安に関する最近の話を聞くと、さじ加減が間違っていると感じますな。

August, 2020
    およそ100 年前にインフルエンザが大流行した際にも、この辺りでは、人々がマスク付ける派としない派に分断されていたそうである。記事に書かれているマスクの強制着用の歴史は、今回のコロナ騒ぎによく似ていますな。そして、一定数、の人間がマスクに反対する点も、どれだけ時間が経とうと、人間の本質的な賢さは大して進歩しない事を暗示しているようで面白い。もちろん、新聞やテレビの言い分を疑いもなく信じてしまう人が一定数いる日本も同類。大本営発表の頃から数えると、100 年には至っていないかも知れませんが・・・。

July, 2020
    某雑誌から、改訂版原稿の査読依頼が来ていた。意外だったのは、編集部からのメールに、著者は、3 ページにわたる私のコメントに基づいて原稿の改訂を行ったが、改訂後も受理するにふさわしくないと感じるようだったら、査読意見を変えないでくれと書かれていたこと。普段はテンプレからコピペしたような文面である事を考えると、編集部側はこの論文を受理することに消極的とも取れそう(勘ぐりすぎ?)。ちなみに、もう一人の査読者は、ほぼノーコメント。こいつは真面目に読んでないでしょうな。著者のお友達と言う線もあるけれど。

June, 2020
    論文用の文献調査をしているのだが、測定した化合物の基本的な物性や測定・計算方法を併記していない論文の多いことに呆れている。補助資料(SI)の中のほんの1 ページも使えば済む話なのに。査読者の目が節穴であることにも苛立ちを感じるけれど。◆一部の文献は、グラフから数値を読み取る必要があるが、最近の数値化アプリは随分使い勝手が良くなっているようで、多少の時間はかかるが、数値化したデータから必要な物性値を割り出すことが可能に。本当は、NIST のデータベースが全てを網羅してくれると便利なのだが。

May, 2020
    共和党系の州に住む某知人のFB には、感染をおそれず、マスクなどもせずに生活する考えを支持するようなことが書かれていた。まぁ、彼が感染する自由を望むのは構わないのだが、本人が感染した場合に感染させる自由の行使をも主張するつもりなのだろうか。そもそもマスクの意味合いを理解してるとも思えないのだが・・・。とは言え、こういった人の存在が第二波の出現に貢献するのか、そして、第二波が来る場合、先日触れた州政権の政党間で死者数に有意の差が出るかについては、興味がないといったらウソになりますな。

April, 2020
    どこかの国では一律10 万円給付をめぐり一悶着あったようだが、こちらは、既に、一人当たり$1200(子供は$500)が振り込まれた。SSN と口座番号が紐付けされているので、このような場合の処理は速いですな。一定以上の年収になると減額されるので、私の所には大して来なかったが、この年収は、昨年の税金の申告データを用いている模様。昨年分を申告していない知人にはお金は振り込まれていないとのこと。ただ、これ、どう使うべきなのか?Amazon で何か買っても、コロナ禍で収入が減った人を助ける事には繋がらないので。

March, 2020
    毎日家にいるので、この欄を埋めるためのネタもほとんどない。毎回COVID-19 の話をするのも芸がないので、ネタの作成を兼ねて、今月中にやらねばならなかった国勢調査にとりかかる。最近の日本の調査方法やその中身には明るくないが、こちらの調査では世帯ごとに12 桁のコードが郵送されて来るので、それを使えばネット経由で簡単に回答できる。質問内容は、名前、人種、世帯構成などで、10 分もかからなかった。四半世紀前の日本の国勢調査では、部屋の広さなど、幾つか面倒な事を聞かれた記憶があるんだけれど・・・。

February, 2020
    某日本企業の人とラボの秘書の間のメールのやりとりを見ていたら、Dear XXX と、Dear で始まるのに彼の苗字には敬称が付いていない、という違和感を覚える書き出しになっていた。要は、日本語方式(姓名の順)で書かれたメールを見た秘書が、苗字を彼のfirst name だと思いこんだだけの事だが、英文レターのお作法は中学校で習わなかったのかなと感じずにはいられなかった。日本政府が英文表記でも姓名の順で名乗らせようとしているからと言う事だったのかもしれないが、私にはそれこそ英語文化の軽視としか映らないので。

January, 2020
    某省庁向けの四半期レポートを取り纏めていたが、何でこうなるのかな、といった中身の物を送ってくる人(と締め切りを守らない人)は、大体いつも決まっている。何とかならないものかと考えたことがない訳ではないが、どうにもならないというのが正直な感想か。色々言っても聞く耳を持たない(そのときは聞いている振りをする)のが多いので。所詮は提出したところで誰の業績になる訳でもない(?)レポートなので、完成度を下げ余計な時間を費やさないようにするしかないのだろうが、米国人に税金泥棒などと言われたらイヤですな。

December, 2019
    グレタさんがTime 誌の今年の人に選ばれたそうで。ただ、私のTL に流れてくる彼女に関する評価を見ていると、完全に二つに分かれているような気が。極論するならば、科学に基づき、気候変動に関する彼女の行動にはあまり意味がないと考える人と、彼女を批判する人に対し、それは嫉妬だなどと言う人か。なお普段のツイから判断するに、後者の多くは科学音痴でポリコレ大好き人間が多いようで、両者が絡んでも喧嘩になるだけ?温暖化抑制のために行動する事と、そこから意味のある結果が導かれるかは別次元の問題なので。

November, 2019
    最近、二つ経済誌(?)に、今後生き残る大学に関する特集記事が出ていたが、海外の大学と張り合うための戦略とは少し違う。就職率なんて競っても仕方がないでしょうに。こちらの大学(院)を見ると、優秀な学生の勧誘、学生を伸ばすための環境作り(授業や教員の質、奨学金や寄付金を含む)、学生も卒業後は母校に貢献、のように正の連鎖がうまく機能しているように思う。中途半端なレベルの学生に、小手先の教育を施したところで、優秀な卒業生の輩出は難しいと言うのが現実?とすれば日本の大学の将来は絶望的だが。

October, 2019
    今年もNobel 賞受賞者の発表シーズンがやってきた。日本から受賞者が出るのはめでたいことだが、この受賞ラッシュいつまで続くのだろう?遅かれ早かれ、その受賞ペースは(米国系)中国人に抜かれるような気がするけれど。◆スポーツと同じで、レベルを上げたければ、裾野を広げることと、それなりに数を打つこと(「選択と集中」の反対)が必要だが、日本がここ20 年あまりにやってきたことは正反対。今後方向転換できればいいけれど、受賞者の発表を受け、多くの理系民が同じことを呟くイベントと化しつつあるのが現実かな?

September, 2019
    Ig Nobel 賞の授与式の様子がネットに出ていたので見てしまった(今年のテーマはhabit)。式中のイベントは癖の方に重点を置いていたようだが、受賞理由そのものは習慣に関連する物が多かったように感じたのは気のせいか?なお、日本人グループの唾液の研究、色々考えたようで面白いプレゼンだった。ただ、某新聞の言う「日本人科学者の創造性、世界で注目されている」は、その通りなのか?そもそも、この原著論文が出たのは1995 年。このような独創的な研究ができる雰囲気が、四半世紀経った今の日本にもあるのかな。

August, 2019
    山の上のラボの共同研究者は、シングルママらしい。元夫との関係は悪くはないが、仕事との両立で意見が食い違ったため分かれたとのこと。子供はまだ小さいので、出張中はどうしているのか聞いたところ、一緒に連れて行けない場合は、ベビーシッターを呼んで面倒を見てもらうのだそうだ。彼女の年齢から察すると子供が生まれたのは学生時代だったんじゃないかと思うが、何とも思い切りのいいこと・・・。もちろん、アメリカの大学や研究機関が、そんな研究者を受け入れる度量を備えているからできた面も、多少はあるだろうが。

June, 2019
    投稿論文のいわゆるコピペに関する記事があった。それによると、驚いたことに、実験方法、著者の所属、参考文献にコピペの疑い有りとコンピューターに判定され、論文が却下されたケースがあるとのこと。科学の知識の有無にかかわらず、人間が軽く目を通せば防げるはずなのに、と思いながら読み進めたが、どうやら同様の判断は時々起きているようである。AI を駆使(?)してもこのレベルだったら、巧妙にコピペを施された論文やデータを改ざんされた論文を検出できるようになるまでには、かなりの時間が掛かりそうですな。

May, 2019
    日本政府は、氏名の英語表記は名字を先に、したいのだろうか?そこに何のメリットがあるのか理解できない。英語を使うなら、ある程度英語の文化に従って名前を表記するのは自然なことだろうし、逆に今更表記を変えると、航空券の予約等で混乱するのは必至(first/last name の順が逆転していると乗れない)。論文の著者名も同様。もちろん、苗字と名前の間にコンマを入れればいいと言う人もいるだろうが、それは個人的な書類だけにして欲しい。システム再構築に国家予算を投入するのが目的なら分からない話でもないけれど。

April, 2019
    某省庁向けの予算の申請書の評価を頼まれた。依頼時に添付されてきた「コメントを書くに当たっての注意書き」をまじめに読んだところ、幾つか興味深いことが書かれていた。逆に言うと、自分で申請する際にはこれらの点を頭に入れておかねばならないと言うことになるが、見方を変えると、審査のガイドラインに沿った申請書が書けていれば、科学的な根拠に欠けていても通ってしまうことがあるような印象を受けた。無論、成功の見通しも評価の一部ではあるが、ガイドラインは個人の感想を書き込むことには些か否定的だったので。

March, 2019
    日本ではムーンショット型研究開発が始まるらしいが、資料をざっと見た限り何をしたいのかよく分からない。資料に書かれた現状分析は私の感覚とさほど違わないが、世界中から研究者の英知を結集するには、ラボごと誘致するくらいの覚悟がないと難しいし、失敗を許容しながら革新的成果へと発掘・育成と言う点も、アメリカのスタートアップの95% が失敗に終わる事を鑑みれば、一部失敗を受け入れる位では不十分。もっとも、真の問題はこの手の研究開発制度がなかった事ではなく、日本の構造的な問題だろうから・・・(以下略)。

February, 2019
    あるプロジェクトのレビューのため、スライドを集めているのだが、その中の一つの図に、測定結果からかなり外れた所に数本の近似曲線が引かれていた。本人曰く、全体の誤差が最小になるように求めたそうだが信じられず、図を作り替えたところ、ご不満な様子。挙げ句の果てには、この部分を見ると、私の計算結果より実測データに近い、などと言いだした。時々ポイントからずれたことをしているのは気付いていたが、それに加え頑固だったとは。共同研究者ゆえ邪険にできないとなると、今後の付き合い方を考えねばなりませんな。

January, 2019
    Duke 大の先生が、学生に英語を話すように強要したのが差別行為に当たる、と言う理由で辞めさせられたようである。休憩時間であっても学内にいる間は英語を使ように先生から強要されたと解釈すれば、些か行きすぎた指導とも取れるが、発言の主旨や、学生が好き好んで留学していることを考えると、これこそ過剰反応。私のラボでも、ラボにいる間は英語を使うことが強く奨励されているが、差別発言の拡大解釈によって、ラボ内で他の言語が飛び交うようになったらイヤですな。○○語が好きな人こそ、○○国に帰ればいいので。

December, 2018
    とある雑誌は、時々、査読者探しに困ったのかではないか、と思うような論文(内容が雑誌の平均的な読者から解離している)を送りつけてくる。その中身を完全に理解するのがほぼ不可能なことは言わずもがなだが、問題なのは、そういう論文に限って私の査読意見だけでその評価が決められているのが多いこと。著者が納得しているならいいが、そうはならないでしょうな。本来なら、エディター権限で、他の雑誌に転送するように著者へ働きかけべきだと思うが、雑誌のレベルが云々と言い張る著者も多くいるはずなので・・・(以下略)。

November, 2018
    最近の徴用工(実際には徴用さえされていないけれど)の話題には、些かあきれている。相手が国際的な条約を反故にする事を厭わない国だというのは分かっていたが、韓国の裁判所(裁判官)には人気取りも必要なのか?さらに、そういった国の側に立つ政党や国会議員が日本に存在するのは理解不能。◆ただ、韓国は中国に対してはなめた態度を取れないようで。日本政府も、躾じゃないが、一度分からせてあげた方がいいんじゃないのかな?韓国が日本と戦ったなどいう嘘の歴史を信じている人々を躾るのはかなり難しそうだが。

October, 2018
    ネットを見ていたら、スタバがプラスチック製ストローの提供をやめると言う数ヶ月前の記事が目に入った。こちらではゴミは埋め立てになるので、環境負荷の観点では理解できるが、カップの方がプラスチックの量も大きいので、ストローを廃止しても意味がないように感じる。更に、日本なら焼却炉の温度を保つためにも適度にプラスチックが混ざっている方がいいと思うのだが(さもないと助燃剤の添加が必要な事も多い)。環境問題への取り組みに対する評価を優先するなら、ストロー廃止を叫びたくなる気持ちは分からなくもないけれど。

September, 2018
    調べ物をする際に、日本語で検索をかけたら、幾つか日本人の研究者による論文(英文と和文の両方)が出て来た。和文の場合、読むのは簡単だが、所詮は日化誌ゆえ中身がない。英文の方はどうかと言えば、これまた何で話があちらこちらに飛ぶのかと言うくらい散漫な構成。結果的には、期待したほどの情報は得られず。20 年ほど前に地方国立大から発表された論文なので、当時はそんな出来でも良かったのかも知れないが、出来の悪い論文も検索される時代では、黒歴史に相当する論文の存在は些か迷惑でもありますな。

August, 2018
    小耳に挟んだ話。山の上のラボでは、近い将来(?)hard X-ray を用いた測定(構造解析)を止め、soft X-ray (スペクトル測定)に特化することになるらしい。要はラボ毎に測定可能な実験を割り振り、重ならないようにする方針だとか。今までシャトルで10 分の距離にあった物が使えなくなり、半日かけてシカゴまで行かねばならなくなると言うのもばかげた話だが、ALS からの人材流出(ヨーロッパに移る人)が加速的に増加しそう。これも現政権のせいなのか?彼なら、まともなアドバイザーがいても、耳を貸さないような気もするが・・・。

June, 2018
    数週間前に頼まれていた査読論文、承諾した時は気付いていなかったのだが、無駄に長い総説だった(レターサイズの紙で150 ページ位だったので、実際に印刷されも40 ページ前後になるはず)。読んでいて面白ければ救いはあるが、端的に言って、ここ5 年あまりの間に出た論文を淡々と紹介しているだけなので、退屈。更に困ったことに、所々に誤った記述が・・・。一通り目を通すだけなら簡単でも、間違いを一つ一つ指摘する時間はないし、私はそこまで親切でもない。内容に関する最終責任は著者にある、と言う事でいいかな?

May, 2018
    少し前に査読した論文が、他の雑誌に出ていることに気付いた。その論文に関しては、手厳しいコメントは書いたかも知れないが、却下はしなかったので、他の査読者もしくはエディターも掲載を見送るべきだと考えたのだろう、きっと。ただ、ざっと見た感じでは、著者は私のコメントに対する改訂はせずに、他の雑誌に送ったように見える。無論、それは、彼らの自由だけれど、なんだか私の時間を無駄にされた気が・・・。最終的に、論文の内容に責任を負うのは私ではないので、彼ら(と別の雑誌)が満足ならばそれ以上言うこともないけれど。

April, 2018
    そろそろ昨年度の税金申告をせねばと思っていたところに、IRS から手紙がやってきた。どうせろくな事はないだろうと思ったが、案の定、2016 年分の税金はself-employed として申告すべきで、$4628 不足していると書かれていた。2014 年にH&R Block が作成したフォームに沿って昨年、一昨年と空欄を埋めただけなのに、3 回目になってケチを付けられるとは納得がいかない。そもそも、控除の対象になる物もないし・・・。一応、手紙を見る限り、修正に同意しないと主張する道は残されているようだが、どうするのがいいのだろうか?

March, 2018
    ここ数日、科研費が反日活動に使われているようだという幾つか目にしたが、然もありなんと思う。科研費は、研究終了後の評価がずさんなので、もらった者勝ち。出張の理由は作文次第。更に、申請書の審査も同業者が行うので、査読者が似たような思想の持ち主であれば、採択率も上がりそう。研究分野を問わず、予算に見合った成果の有無をその後の予算申請の採否に反映させる事が望ましいが、その評価も内輪で回すと・・・。研究成果に点数付け出来る人材が省庁にも必要なのではないかな、DOEDOD のように。

February, 2018
    先日のフロリダにおけるの乱射に関連し、高校生が政治家を批判。まともな事を言っているように思うが、銃規制に反対する立場の人にとっては、面白くなさそうである。乱射事件を政治利用するな、とまで言っているので。更に問題なのは、仮に将来的に銃が規制される方向に進むにしても、現在出回っている銃が無くなるわけではない点。銃の保持も憲法で保障されているので、強制的に銃を手放させることは難しい。要するにNRA を潰したところで、"刀"狩りができない限り、残念ながらこの国の状況が変わる事はないでしょう・・・。

January, 2018
    京大のiPS 研で不正ですか。ニュースを見る限り、山中所長の辞任の可能性まで取り沙汰されているようだが、共著者でもない所長の責任問題になる理由はよく分からない。日本的ではあるけれど。もっとも、日本での研究に限界を感じ、もっと研究費を出してくれる大学に移る機会と捉えているなら、本人にとっては渡りに船?ついでに言うと、日本の研究環境が必ずしも良くないことを世間に知らしめるための一助にもなりそう。◆Stem Cell Reports のIF は7.3 位?このレベルなら、追試されることもないと考えたのか。愚かな判断ですが。

December, 2017
    中国から送られてきた査読用の論文、妙なことに英語はちゃんと書かれているのに、中身は冗長で、要点が絞られていない。変だなと感じつつ読み進めたが、ある結果に関し参考文献を見て目が点になった。実はその著者、文献の一部をコピーして、数値と化合物名だけ書き換えていた。どうりで言語明瞭、意味不明瞭になっている場所が散見されたはずである。エディターに連絡したら、即却下だとのこと。ただ、彼が言うに、その論文、雑誌社の使う剽窃チェックツールをすり抜けてしまったらしい。なるほど、いいこと聞いちゃった(ウソ)。

November, 2017
    ネットの記事によると、来週SF 市で慰安婦碑寄付に関する決議の最終審議が行われるらしい。そりゃ当時(朝鮮戦争の時期を含め、自発的、もしくは親に売られた)売春婦は沢山いただろうが、20 万人が強制連行のような捏造した証拠に基づいて事を大きくし、二国間問題を直接的に関係のないアメリカに持ち込むのは筋違いも甚だしい。と言うわけで、ネタ作りを兼ねてメールを送ってみた。ただ、将来的には、アメリカに送り込んだ移民の数が物を言うだろうから、日本の置かれた状況は、残念ながら、それほど明るくはないでしょうな。

October, 2017
    数式を追いながら本を読んでいた時、試しに実際の測定データを使って計算したところ、予想とは大きく異なる数値が出てきた。結論から言ってしまうと、本の数式が間違っていたのだが、著者がしっかりと確認していなかったのだろうか?昨日も、似たような誤りが別の本にあったことに気付いたことを考えると、案外そんな物なのかも知れないけれど、迷惑な話である事には変わりない。演習問題でも付いていれば、出版前に簡単にチェックすることも可能だったのかも知れないが、全ての数式に演習問題を付けるわけにもいかないし・・・。

September, 2017
    そんな暇なんて無いのに、査読のお願いが立て続けに3 件もやってきた。どうするのが正解か?(1)忙しいと言い全て断る。(2)一番レベルの高い雑誌からの依頼だけ受ける。(3)読んだふりをして、特に修正すべき点は無いのでそのまま受理していい返信。(4)メールすら受け取っていないふりをして、少なくとも催促メールが来るまで放置。(5)覚悟を決めて全て読み、辛口コメントを返す。でも、メールをよく見たら、いずれも私のコメントに対する改訂版の査読依頼の模様。だとすれば、どうすればいいかはほぼ決まったような物ですな。

August, 2017
    某雑誌から、ゲストエディターをやりませんかというメールが来ていた。要は特集号に載せるために、知り合いの研究者に論文を書いてくれるようにお願いし、期限内に集めろと言うことなのだが、あまり気が進まない。誤解を恐れずに言うのであれば、同業者の皆さんはお忙しいので、あまり名の通っていない雑誌のために論文を書いても見返り(業績としての見栄えや被引用回数など)が少ないと判断されると、雑誌社側が目論んでいるように事は進まない事の方が多いのが現実。どうするか、って、どうせ腹の内は決まっているけれど。

July, 2017
    某雑誌のエディターが二つも連続して論文を送ってきたので、仕方なく目を通しているが、一本目の論文は何が書いてあるのかなかなか頭に入ってこない。分野の違いというより、論文の構成自体に問題がありそう。二本目は、どんな実験をしたのかは容易に理解できたが、データが信用できない。端的に言って両者とも、投稿すべきレベルに達しているとは思えない。やはり査読を引き受けるかどうかは、雑誌名で判断した方がいいのだろうか?名の通った雑誌か否かで足切りするとなれば、日本の就活のエントリーみたいだけれど。

June, 2017
    二酸化炭素の吸着に関する総説を書きたいのだが、どんなトピックが関心を持たれているか教えてくれと言うメールが来た。そういう事は、今まで書かれてきた総説との差別化を図るために、総説を書く人が考え抜くべき事だと思うが、安易にほとんど面識もない人にメールを出すのが最近のやり方?大体、総説に入れるべき内容を人に聞いていると言うことは、その分野について十分な知識があるとは思えない。そんな人によって書かれる総説の出来映えは推して知るべしだが、今は、数ヶ月後に査読依頼が来ないよう祈ることにしよう。

May, 2017
    ある先生が、日本の大学は一部の先生が巨額の研究費を独り占めしていると言い出した。彼曰く「○○は酷い、研究の中身を理解していない」と(←確かに・・・)。要は、教授の寄せ集めからなる巨大プロジェクトを暗に批判しているのだが、プロジェクト研究のリーダーが研究に専念せず、学内や学会での権力争いや招待講演に時間を費やしているならば、研究費を付けても有効に使えるはずがないというのは分からなくもない。ぶら下がっている先生には、重要な資金源なのだが、自由競争を阻害しかねない面があるのは事実だろう。

April, 2017
    某省庁向けのレポートを書くために、様々なグループから送られてきた草稿を見ているのだが、レポートとしての体裁すら保っていない物が幾つか。それらは概して、書かれている内容が彼らの論文の中身と一致しない、実験結果をまとめただけで、プロポーザルとの関連性が見られない、レポートが最終的に何のために使われるのかを理解していない、ように思う。PI が簡単に中身をチェックしていれば防げるはずだが、残念ながら、何か出してとけばいいと言う態度のPI が何人か紛れている事の証なのだろう。誰とは言わないけれど。

March, 2017
    Trump が2018 年の科学技術系の予算を大幅に削ろうとしている。提案通りに議会が承認するか定かではないが、今後、研究費が取りにくくなること必至。減額の幅で行くとDOE は $1B 以上になり、そのあおりを食ったDOE 内のARPA-e は、組織そのものが消滅?記事には書かれていないが、H2 関連部署では、今後も予算を確保するため、プロジェクトをTrump が興味を示さないCO2 や温暖化と関連づけないよう、研究者にお達しが出ている始末。組織内の話にはさほど興味はないが、研究費の半分は人件費になりますからねぇ・・・。

February, 2017
    こちらの大統領は何処ぞの首相と首脳会談だったようだが、この辺りには、未だ現実を受け止められない人々が、道路に落書きをしている。気持ちはよく分かるが、今更、国家の分断に荷担するような事をしてもね。私だってTrump を支持する気にはならないが、自分の視界に入ってくるLGBT のような問題ばかりに集中して、昨年の選挙で反乱(?)を起こした人々には目を向けようとしない活動を続けても、長い目で見れば人々の支持が得られると思えないが。日本と同様、ここでもエセリベラリストにろくなのがいないだけのことかな。

January, 2017
    立場上、何人かの学生やPD が作ったスライドをまとめることがよくあるのだが、毎回、手直しせずに使える人と、そうとは言い難い人の差が大きいことに些か閉口気味。新しく来たばかりの学生なら仕方がないのだが、PD でそれだとまずいでしょと言いたくなる。たぶん、その手の指摘をされずに卒業してしまったのでしょう。大体スライドなんて、字は大きく、情報を詰め込みすぎず、シンプルな図を作り、聴衆の知りたいであろうことを載せるよう心がければそれっぽくなりそうだが?彼には、近いうちに、はっきりと言わねばなりませんな。

December, 2016
    先日の住民投票で大麻の合法化が賛成多数となったCA 州だが、州立大学側の判断はそれとは正反対らしい。UC のポリシーとして以前から大麻の使用や保持をキャンパス内で認めていないことに加え、政府レベルでは、依然として大麻の使用が禁じられているので、政府からお金をもらっている大学としても、政府が学校に大麻を持ち込むことを認めないのは当然であるとの事。まぁ、喫煙に加え電子たばこですら禁止しているので、大麻が許される理由は見あたらないが、違反して処分(最悪、退学らしい)される人は出るんでしょうな。

November, 2016
    こちらは、今日が大統領選である。開票が始まるまでは何も起こらないだろうと思っていたが、開票が進につれ、だんだん周囲の人々の顔が困ったな、という雰囲気に変わっていくのがよく分かった。こうなった理由はさておき、私がこれまで過ごしてきたアメリカはどこも民主党よりの地域であり、今回Trump を支持した人々の考え方や生活を見る機会はほぼ皆無。選挙結果から見るに、国家が、私が感じていた以上に二極化していたのだろう。ただ、このに出てくるような人がTrump に投票していたとすると、政権運営は難しいでしょうな。

October, 2016
    某PD が企業との共同研究に関連しプロポーザルを書いたのだが、企業側がそれらは私たちが元々出したアイディアだと言い出した物だから、その彼はご立腹(彼も以前から同様のアイディアを持っていたと言うこと)。この手の論争は得てして平行線に終わる公算大ゆえ、最終的にはPI 同士の手打ちになるのだろう。もっとも、企業の人が論文の共著者になりたいと言う意思表示と捉えれば、落としどころは簡単に見つかるはずだが。ただ、こんな可能性があることを考えると、外部とのミーティングは全て録音する必要があるのかも・・・?

September, 2016
    面識のある先生が、同じ日に二人もやってきて、講演をしてくれた。両者ともそれなりに有名で、いい仕事もしているのだが、プレゼンのスタイルはおよそ対照的。これまでの仕事をまとめたスライドを手裏剣のように出すプレゼンと、何かを学んでもらおうとじっくりと説明するプレゼンを比べれば、どちらがいいかは言わずもがな。◆前者の先生は手裏剣方式(?)を5 年以上続けているが、今までに、誰かに何か言われたこ事は無いのだろうか?大量のスライドを作り直すのはかなりの手間なので、既に諦めているのかもしれないけれど。

August, 2016
    ある先生が論文の査読をした際、その中身に色々と間違いがあったので指摘したものの、エディター(Associate Editor)が結果的にそのコメントを重視せず、問題の論文を受理してしまったとのこと。彼が言うに、エディターは言わずもがな、論文の責任著者自身も論文に何が書かれているか正しく理解していないのではないかとの事。なお、その実験をした学生、APS で何かやらかしたらしく、もう戻ってくるなと言われたらしい。そんな噂話が仲間内で広まってしまうと、学生を送ったPI としても信用問題に関わってくるので大変ですな。

July, 2016
    某企業とのビデオ会議があった。およそ事前に想像できたことだが、こちらの説明していることが必ずしも先方に理解されていないようで、所々議論がかみ合っていない場面があったように感じる。ある程度分かりやすいスライドを作るように心がけたはずだったが、まだまだでしたな。高校生でも分かるようにしないといけなかったと言うことなのだろう(そもそも先方が、細かいことを覚えているはずがないので)。しかし、某学生さんの説明は聞いていて冷や汗ものだった。そうなんだろうけれど、それを相手に言ってしまったらまずいでしょ?

June, 2016
    Obama 大統領が音頭を取って進めようとしているエネルギー関連のプロジェクトがあるらしい。聞くところによると、チームで総額5 年で$70M だとか。面白かったのは、彼の任期中に予算が付けられるような日程になっているとのこと。そして某先生が言うに、その巨大プロジェクト、Hillary が大統領になればそのまま引き継がれるかも知れないが、Trump が仮に大統領になったらどうなるか誰にも分からないよねと。後者が選ばれるとは考えにくいが、科学技術への理解に乏しい政治家が色々やったことは、日本でもあったような・・・?

May, 2016
    パキスタン人のPD と少し話をしたのだが、祖国では大学の先生なのだという。ただ、研究費を獲得するのが非常に難しく、研究が出来るような状況ではないらしい。予算があれば試薬は手に入るのかと尋ねたところ、サウジと同じで半年待ちはざららしい。となれば、少なくとも研究費が取りやすいサウジに来た理由は理解できますな。日本とアメリカしか知らないと、試薬は数日中に届くのが当たり前だと感じるが、現実にはそんな場所の方が少ないのだろう。でも、こちらにいる研究者、おしゃべりばかりしている人が多いんだけれど・・・。

April, 2016
    山の上で会社を興している人のが言うに、会社の運営には政府系の予算を使っているとのこと。VC を利用すると、短期間で成果を出すことを求められるが、研究の中身からして、そう短時間で物になるとは思えないので、あえてそういった物は入れないようにしているらしい。確かにVC によって短期間で規模を拡大しても、3 年後(?)に清算では意味がない。時間=製品化ではないが、投資目的で会社(とそこにある技術)を弄ばれてはたまらない、と言う事なのだろう。それに、製品化が近づけば近づいてくる輩が出てくるのだろうし?

March, 2016
    調べ物がてら、5 年以上前に買った6000 円の本(でも150 ページ)を見ていたら、当時は、使えない本を買ってしまったと感じていたはずなのに、色々と重要なことが書かれていたことに気付いた。無論、当時の興味や関心の対象からすれば、それらを見落としていても不思議はないが、5 年前にその重要性を見抜くことができていればと思うとちょっと残念。でも、昔から似たようなことを繰り返してばかりいるので、頭の中の何かが抜けているのだろう。いい解決法はあるのだろうか?日本語の読解力に難があるのだとしたら無理かな・・・。

February, 2016
    どうやら昨日付で、ベトナムとの共同研究を破棄する通告を行ったらしい。もっとも、この半年あまりのごたごたを鑑みれば既定路線だった訳だが、5-6 年かけて育て上げてきたはずの物が失敗に終わったのは残念である。現地の大学の人々とのやりとりで分かったのは、自身の利権が保証されない限り、彼らは抵抗勢力にしかなり得ないばかりか、知的貢献に対する十分な理解を得るのも難しい。学生の教育は海外でも出来る事を考えると、トップが指導力を発揮しないと、現地に箱物を作ってもお金を無駄にして終わるのでしょうな。

January, 2016
    ネット上にラボでの働き方に関するが出ていた。大学にいるとこの手の話は、珍しくも何ともありませんな。何時間働けと時間を決めるのは好きではないが、成果を出している人が働き者であることは紛れもない事実。将来も第一線で研究を続けるつもりなら、これもやむを得ない事かと。教授にしても、苦心して予算を取り、プロジェクトを進めようとしたものの、学生が給料分の働きをしないと感じたら、何か言いたくもなるだろう。もっとも、悪名を轟かせている先生は、期待される成果を過大に見積もっている事もよくあるとは思うけれど。

December, 2015
    先日のSan Bernardino における銃の乱射に関連し、そんな事態に遭遇した場合の対処法がML で紹介されていた。基本的には安全を確保せよと言うことに尽きるのだが、最悪の事態は死を覚悟し、銃の所有者と戦うことも選択肢になりうると書かれている点は、日本にいたら想像できないだろう。走って逃げると決めた場合には、狙いにくくするため、ジグザグに走る方がいいとのこと。とっさの時にそんなことを思い出せるとは思えない。私に出来そうなのは死んだふりだけかな?◆大学の先生はこれをふまえて学生を誘導?大変ですな。

November, 2015
    サウジの人と話をしていると、国の将来について心配している人が少なからずいる事が分かる。国家収入の大部分を原油に頼っていれば、原油価格の下落が意味することは容易に想像できるけれど、経済は意外に脆いのですな。◆経済が立ちゆかなくなる理由の一つは戦費(軍事介入ではないと言い張っていた)。サウジの場合、基本的に全ての武器を輸入しているので、自国で生産する国と比べると、高くつくらしい。◆夜は、サウジ人の先生の家に招かれた。世の中には金持ちがいるんだな、と瞬時に理解できそうな内装でした。

October, 2015
    学部長が日本へ赴き、UCB への投資を促すための講演をしたらしい。講演内容を、某雑誌に載せようと考えた日本側は講演の日本語訳を作成。その中身が正しいか確認したいので学部長と読み合わせをする時間を取るようUCB 側から頼まれた。しかし、その日本語訳とは、同時通訳をそのまま活字にしたようなレベルで、意味不明な部分が至る所に。良くこんな物を学部長に送りけ、中身を確認しろと言えましたな。◆結果的に、ミーティングは敢えなく時間切れ。家に戻ってから手直しを始めたが、これは時間がかかりそうである。

September, 2015
    研究費にまつわる不正というのは、どこの国でもある事だが、とある国でも色々もめているらしい。端的に言えば、給料の一部をラボに返還しろとか、受け取っていない謝礼の受領書にサインせよと言われた学生が、話と違うと激怒。一方の事務方は、彼らの論理(書類の提出期限など)を振りかざしたので平行線。そんな最中、事務がサインを偽造し、書類を作成していたことが判明。上司の命令なしに偽造するはずがないので、学生はラボのトップ共々告発してやると息巻いているらしい。泥仕合になりつつあるが、落としどころは・・・?

August, 2015
    某エジプト人曰く、彼の大学では、ポストをキープしながら最大10 年間、海外で研究してもいいのだという。すごい話だとも思ったが、試薬を注文してから手に入れるまで一年かかる(サウジと変わらないが)と言う話を聞くと、海外の大学で研究をしてもらい、論文を書くときにエジプトの大学を所属に含めてもらわない限り、大学として研究成果を発表するのは極めて難しい。おそらく、そういう事情からなのだろう、祖国では講師や准教授クラスでも、海外ではポスドクとして働くのは。でも、祖国の教育レベルは上がらないでしょう、これでは。

July, 2015
    新国立競技場の建設費2520 億円は高いのか?原発を止めた代わりに燃やした燃料代がおよそ3.5 兆円、なんて事を考えると出せない金額じゃないと思うが、ここにあるように、本来の意図とはまるで異なる物が作られようとしていたのであれば、その建設費以前の問題として、一体、裏で何が起きていたのか知りたくなりますな。◆(今回は珍しくひっくり返ったが)一度決めたらなかなか引き返せない、責任者不在、予算度外視、あと絶対どこかに裏金が・・・。まぁ、これも日本式と言うことなのか。◆そして次案にもまた問題が発生し・・・?

June, 2015
    中国人の学生が、吸着データを使った解析をしている。簡単な計算なので自力でやるのかと思っていたら、どこかの中国人が作成したというマニュアルをどこからか入手したらしい。良くも悪くも、典型的な中国人のやりそうなことだが(=中国人同士の横の結びつきが強いのは強力な武器になるが、物事をコピーで終わらせてしまい上辺だけの知識や経験で終わってしまう)、彼がもし、その手順だけを暗記して終わりにするなら、本人のためにはならないでしょう。何度か計算をするうちに、その意味も理解できるようになるとは思うけれど。

May, 2015
    大阪都構想は反対多数ですか。その中身や橋下氏への好き嫌いはさておき、70 歳以上が軒並み反対(=若者の意向は年寄りに潰される)点は気になりますな。無論、年配者の方が正しい判断が出来る、と嘯くのもいるだろうが、都構想の利点と欠点を正確に把握している人なんて限定的。むしろ、今回の結果を受け一切の改革が止まるならば、その方が問題。こんな事が続くならば、選挙権を18 歳から付与するより、年金受給者の選挙権の制限を考えた方がいいんじゃないのかな?仮に若造が誤った判断を下す事になったとしても。

April, 2015
    先日、家賃の更新に関するお知らせが来ていたが、最近の不動産価格の上昇のあおりを受けてか、値上げ幅は約8%。貸し手がルールを作るというのは万国共通なのだろう。しかし、ラボの人が、Berkeley にはRent Stabilization Board があるので、話を聞いてみるといいと教えてくれたので、足を伸ばすことに。結論から言うと、彼らは強欲かもしれないが、法を犯すようなことはしていないとのこと。相談員も、家賃の上昇が続き、一部の住民が転出し始めた事態を把握しているようだったが、現実には、打つ手はほとんどないようである。

March, 2015
    今更と言うわけでもないが、ベトナムから来た学生をUCB の学生と比べると、実験をさせると互角の働きをするのだが、データをまとめてスライドを作ると、大きな差が出る。UCB の学生は、ちょっと言うと、それなりにちゃんとした物に作り替えてくるのだが、ベトナムの学生にはあまり期待できない。おそらく先生に言われた事を中心にやってきたために、それ以上のことを自分で考えてやり遂げると言うトレーニング量が絶対的に不足しているのだろう。しかし、この差は絶望的になるくらい大きい。追いつくにはまだ数年かかりそうである。

February, 2015
    ラボに、私以外の人が使うとよく問題を起こす装置がある。もちろん、装置が人を選ぶ事はなく、その仕組み十分に理解しないまま操作すると壊れると言う、当たり前のことを言いたいだけなのだが、そのたびに分解修理をさせられる者にとっては迷惑以外の何物でもない。それに、おかしな操作をする人に限って、何でこんな事になったんだと言い出すからたちが悪い。説明した時に分かったと言っていても、重要な事はあまり耳に入っていないのだろう。ある地域からの人には、何でもyes と言うのが、経験上、意外に多いんだけれど。

January, 2015
    最近買ったをだらだらと読んでいたところ、その中身が、時折ボスが口にしている幾つかの事によく似ている事に気づいた。おそらく彼も、いわゆるマネージメント講座を利用して、ラボの運営法を研究したのだろう。でもこの考え方は最高レベルの学生を集められるUCB にいれば活用できるが、日本の地方の私立大で働こうものなら、そんな贅沢は言ってられない。いい研究を続けるには、それなりの場所にいないと難しい、と言うのは残念ながら事実なのだろう。そういう場所にいない場合はどうするか?それ用の本を探すとしますか。

December, 2014
    ベトナムの問題の一つは、研究者(の一部)が研究費を私的流用している点。ベトナムのセンターの前任者も多額のお金を抜いたその一人。とは言え、この手の不正、ベトナムの様々な現状(購入システム、師弟関係、給料など)を考えると撲滅するには数十年かかりそう。心配なのは、そういう狡賢い人々が大学の上層部を占めると、クリーンな研究者は、予算配分や昇進で不利な状況に置かれるであろう点。センターの学生に倫理観を含めた指導をしても、彼らが最終的に汚職に手を染める可能性を想像すると絶望的になりますな。

November, 2014
    ここ数日、プロポーザルに悩まされている。化学について書くなら、ちょっとネットで調べて、それっぽい事を書く自信はあるが、化学工学系の分野で、なじみのない単位が幾つも出てくると、省庁が求めている事を理解するのが精一杯。状況を見かねた共同研究者が色々書き直しているが、私は彼がウソを書いたとしても見抜けないだろう。異分野の研究者同士が協力するからプロジェクトを立ち上げる意味があると捉えるべきか、そんな研究者が組んでも時間と金の無駄にしかならないと見るべきか。お役人はどう考えるのだろうか。

October, 2014
    憲法9 条が平和賞候補という話を耳にし、ボスより先にノーベル賞を取るチャンスかと思ったが、その野望は敢えなく消えてしまった。◆まじめにコメントするならば、アメリカが作った条文を守り戦争の放棄を掲げたところで、自国の防衛をアメリカに任せているようでは、口だけと思われるのがせいぜい。人任せゆえ、他国に攻められても、白旗を掲ろと言う人が後を絶たないのだろうが、根本的に他国の存在が思考回路から抜け落ちていて、話にならない。◆独善的な思考に平和賞は不適切。敢えて言うなら、平和賞自体がゴミなのだが。

September, 2014
    ラボの人から、装置の様子がおかしいと電話がかかってきた。おかしいのは家から装置のパソコンを見ていて分かっていたのだが、その理由までは分からない。説明するより実物を見た方が早いと言うことで、彼がiPhone カメラで装置の様子を写してくれたのだが、解像度が悪く、正直言って分からない。こういう時に4K テレビ(カメラ?)があると良かったのだろう。もっとも、毎日使うような物でもないので、私にとっての重要性は低いが、装置会社のサービスエンジニアにとっては、顧客が持っているとありがたい代物かもしれませんな。

August, 2014
    比較的まとまった額の研究費が(もし当たれば)もらえるから予算の申請書を作ると言われたものの、色々話を聞いてみると、締め切りは週末。一体、どうすればその金額に見合ったプランを立てることが短時間で出来るのか?なんだか、研究が目的と言うより、お金が目的という現実が見え隠れしている。もっとも、今に始まったことではないので、お偉いさん集団が決めたことに従ってそれっぽい物を書き上げる経験値は、私もそこそこあるのだが、審査する側はそれを見抜くのか。競争相手も似たような事をしてるから心配ないって?

July, 2014
    新しい話ではないが、日本からの科学材料系の論文数が減少しているとのこと。数の減少は事実でも、その質も低下しているか否かは、ここでは分からない。私が学生の頃は、数が重要という先生が多かったが、最近は、IF やら被引用数が重視される傾向にあるので。◆中国の論文数が増える理由の一つは、粗悪品の乱造。読む価値があるのはほんの一握りの論文だけでしょう。その意味で、研究成果が周囲に与えるインパクトを適切に評価する方法を確立しないと、予算配分において戦略を誤りそうな気が。うーん、もう遅いかな?

June, 2014
    Twitter 経由でこんな物が流れて来た(4-5 年前の調査結果?)。多くの人が感じていることだろうが、親の収入と子供の学力には明らかな相関があるようで。◆親の収入(親の職種?)が子供の学力と関連があるのは、アメリカも似たような物だと思う。UCB にいるアメリカ人学生の両親は、大学の先生だったり、政府機関に勤務している事が少なからずあるので。◆ラボの某学生の父親は、30 年ほど前、彼が現在実験している部屋で研究をしていた時期があったらしい。こうやって、人々の職業上の身分は固定されていくのだろうか。

May, 2014
    ひどい英語の例を求めて文科省のサイトへ・・・というtweet を見て唖然としたが、日本語のスライドを直訳した英語版のスライドを見て、二度びっくり。無理に英語版を作らなくてもと言うのが率直な感想。想定する読み手が異なるのだから、直訳調の英語版を作る意味がないと言ってしまえば元も子もないが、もう少し見やすい物が作れなかったのか?さらに、これ英語?と言う表現をググったらミシガン大内の創価学会のサイトが出て来た。こんな文科省に「外国語コミュニケーションの強化支援」されても、物になりそうにはありませんな。

April, 2014
    調査捕鯨訴訟のニュースを耳にした某学生に、鯨を食べたことはあるかと聞かれたが、正直言って記憶にない。そもそも、私はタンパク源としてのを食べる必要があるとも思わないが。◆話ついでに、アメリカ人は毎年3000 万頭の牛を殺すようだが、捕鯨とは異なり、それはなぜ問題にしないのかと聞いてみた。あれは豪州での判決だから、と逃げられたが、白人どもが彼らの基準で物事を判断し、それを他人に押しつけるのは気にいらない。◆豪州のカンガルー肉も、野蛮の程度としてはを食べるのと大差ないんじゃないのかな。

March, 2014
    お呼ばれしていた勉強会のために、駒場へ。今回の世話人には、学生向けに海外における研究生活についても講演内で紹介して欲しいと言われていたが、私が感じた限り彼らの反応はほぼゼロ。こういう話に一人も食いついてこないようでは、日本の将来も危うい。海外留学したところで、日本では大して評価されないものの、好奇心旺盛の研究者が一定数出てこないと、10 年後に差が見えてくるのではなかろうか。そもそも、外国で一定期間生活しないと、日本の長所や短所を客観的に評価するのは難しいと思うんですけどね、私は。

February, 2014
    ある先生が、JACS に4本の論文を立て続けに投稿したら、そのうちの一つが却下されたと不満をもらしていたらしい。一つの雑誌に幾つも続けて投稿すると、その質にかかわらずその一部は却下されると言いたかったらしいが、本当なのだろうか?全ての査読者が好意的なコメントを残せば、仮にEditor と仲が悪くても、却下されることはないと感じるので。逆に言うと、そのような恣意的な理由で非掲載になるようならば、査読の必要性すらなくなってしまう。4-5 本投稿していれば、一つ位はできの悪いのがあると思うんですけどね・・・。

January, 2014
    都知事選のポイントは脱原発?原発はないに越したことはないが、知事にはその許認可権はないし、財源に関する議論も耳にしない。年間3-4 兆円の燃料代が余計にかかると、電気代にかかる余剰コストは年間一人あたり3 万円。現実には、その負担の多くは民間企業に転嫁されるから、企業の業績は悪化し庶民の年収も下がる。そんなの平気と言うのは、一部の金持ちと年寄りの戯言だろう。もっとも、最大の謎は、都政にとって必要な事(中小企業支援、インフラ再整備、地震対策など)が議論されそうにない雰囲気なんだけれど。

December, 2013
    化学科主催のセミナーで1 時間弱話をした。難しい事をしゃべりすぎないようにしたが、どれだけ理解してもらえたのかは不明。数年前のベトナムでの講義と同様、聴衆のレベルが私の想定していたレベルに達していなかったのだろうか?◆私と似たような研究を数年間続けているという若手の先生と話をしたのだが、その割には(論文に出ている個々の事象には詳しくとも)その包括的な理解度は今ひとつ。教官がこれでは、学生のレベルは推して知るべし?◆仮に私の講演の内容が全く伝わっていなくても驚いてはいけないのかな?

November, 2013
    ボスが言うには、ラボに新しく来る学生やPD と話をすれば、およそ95% の確率で、彼らが成功するか否か分かるという。その割には、これまでに結構な数の外れを引いてきたというのは、まじめに面接をしなかったからなのか、それともそんな学生しかいなかったからなのか?願わくば、多くの人にチャンスを与えた、と言うことにしておきたいけれど。◆ついでに、「私はどうだったのか?」と聞いてみたら、案の定、第一印象は、外れ組だったらしい(笑)。もっとも、当時は英語力がほぼゼロ。会話にならなきゃ、当たりようもなかったんだけど。

October, 2013
    DOE の人の話。Ph.D を取る人の数に比べ、アカデミックポジションが絶対的に不足している事に加え、一般企業も景気に合わせて人員をカットしたり採用をやめるので、学位を取った人の就職先を供給しきれない事を危惧していた。そんな事態が続くと、科学技術の進歩の面で大きなマイナスになるので、何とか出来ないものかと、前エネルギー庁長官とも話をしたそうだ。ちなみに前長官、ベル研にいた9 年間の間、ノーベル賞につながらないような研究はするなと言われていたとか?最近の「短時間で業績を・・・」とはかなり違いますな。

September, 2013
    数週間前に査読依頼が来ていた論文は、その装置の特殊性ゆえ、普通のラボで追試をするのは極めて難しいと言う代物だった。根拠もなしに、その結果が信用できないとは言えないので、測定結果の正しさを証明出来るのであれば受理してもいいんじゃないかというコメントを編集部側に送り返しておいた。本音を言うと、私のコメントに対しどのような返答が戻ってくるのかに興味があったのだが、(もう一人の査読者がノーと言った事もあり)エディターの下した判断は却下。せっかく、実験結果の信憑性を知るいい機会だったのに残念。

August, 2013
    CA 州のGlendale 市に、慰安婦の像が建てられたようで。あの当時、民間の慰安婦がいたのは事実だが、日本政府の稚拙な対応も相まって、旧日本軍が強制徴用したという作り話がこちらでも広められているのは残念である。◆解せないのは、政府間では解決済みの問題を、一部の韓国系がアメリカに持ち込んでいる点。そんなに像を建てたければ、韓国軍のベトナムにおける蛮行を反省し、HCMC に像を建ててくればいいのに。もっとも、朝鮮戦争時にも慰安婦はいたのだから、建像のために海外に出て行く必要はないんだけれど。

July, 2013
    ラボのPD との会話の最中に感じたのは「彼、ベトナムの学生にそっくり」だった。◆私見ながらベトナムの学生は頑固なのが多い。アドバイスをした直後こそ神妙にしているが、数ヶ月後に彼らのゼミを見る度に愕然とする。つまり、多くの場合、止めろと言った実験ばかり続けているのである。だから結果が出ないのだろうが、分からないのでしょうな。◆その意味で、ボスや私のアドバイスを平気でスルーするPD にも危険フラグが立っている事になるのだが、こちらも全く自覚していない。本人にははっきり言っておいたが、どうなることか?

June, 2013
    前回の続き、と言うわけでもないが、日本の科研費に関する資料を発見。成果は金で買う訳ではないものの、それなりの研究費をつぎ込まないと出る物も出なくなるのだろう、と言うのが率直な感想。気になるのはここにも出ているように、日本発の論文のインパクトが年々薄れている点。アメリカにいると、これも当然の帰結と言いたくなるが、日本のお役人はどこにその原因を見ているのだろうか(そこまでは書かれていない)。分析できたところで、日本の構造的な問題を取り除かない限り、事態が改善することは決してないと思うけれど。

May, 2013
    ちょっと前に送り返しておいた査読の結果に対する最終決定メールが転送されてきた。そこには、他の査読者のコメントも載っているので、それを自分のコメントと見比べると、勉強になる事もある。今回の二つの論文に関しては、(それらの論文の出来が芳しくなかったためか)他の査読者も私と同じようなことを書いていたので一安心。たまに全く違うことを書いている査読者を見つける事もあるので。言い換えるなら、同じ問題点を複数の人に指摘されずに済むように論文を書く事なのだろうけれど、それが意外に・・・(自戒を込めつつ)。

April, 2013
    ひょんなことから、ボスがこれまで書き綴ってきたノートの一部を見せてくれた。当時の研究に関する物の中のいくつかは、それから10-15 年経ったここ数年の間に、他のグループによって報告された物だった。アイディアを出す以上に、それを実現することの方が難しいとは言え、研究をうまく進めるには、テーマの重要性を理解し、それに向かって実験を続けられる研究者の存在が必要不可欠だったと言うことなのだろう。まぁ、何も分かっていなくても、偶然ながら、面白い物を発見しちゃう人が一定数いる事までは否定しないけれど・・・。

March, 2013
    今回は、日銀の正総裁がすんなりと決まりそうですな。名前だけでなく政策の中身も白から黒へと正反対に(笑)。でも政策を考えると、決まらない方がいいような気も。そもそも、昔の総裁の言うように、打ち出の小槌はないので、安倍さんの目論見どおりに物事が進むはずがない。◆でも、人事の話は市場にとっては既定路線だろうから、そろそろ私は円を買っても(ドルを日本へ送金しても)いい時期かな?本音を言うと、$1 = 100 円位まで下げて欲しいが、そこを一気に突き抜けて円の大暴落に繋がることはない、と信じたいので。

February, 2013
    昨年の衆議院選挙の年齢別投票率が公表されている。平均投票率は60% ほどで、投票率が最も高いのは70 歳前後らしい。日本人の平均年齢は45 歳なので、未成年を除く投票者の平均年齢は低めに見積もっても50 歳以上?選挙に勝つには老人向けの政策を出すのがもっとも効果的であり、選挙結果が国家の進むべき方向と乖離するのは当然の帰結、ということなのでしょう。例えば、国家的詐欺の年金のように。◆それにしても、今日は妙に眠い一日だった。たまたまコーヒーを飲まなかったからというよりは、だらけているだけ?

January, 2013
    現在のベトナムは、1960 年代の日本に似ていると想像していたが、この映像を見ると、そうでもなかったのかなと。街中の人々を見比べると、若年層の割合が高いことと、街中を走り回るバイクの数ゆえ、現在のベトナムの方が活気に溢れているように感じる。しかし、撮影当時、都内の鉄道網は整備され、新幹線も開通していた日本の状況を鑑みると、物質的には豊かになりつつるベトナムだが、インフラ整備に必要な技術力(と資金)は、当時の日本にも及びそうにない。街中がバイクだらけだった理由はこんな所にもあったのだろうか。

December, 2012
    どうやら、VN のセンターを実質的に仕切っている人は、学生に何か大きなアイディアを出すように提案(強要?)しているらしい。控えめに言っても、目的のある研究が出来ていない現状を垣間見れば、どう逆立ちしたって、いいアイディアが湧き出てくることはあり得ない。まぁ、言ってしまえば、そんなことを口にしちゃう彼の研究者としての成熟度が学生のそれと同程度に過ぎないと言うことなんだろうけれど。VN 学生も基礎知識は押さえているのだから具体的なゴールを与えれば、何人かは、それをどう解決するか考えると思うのだが・・・。

November, 2012
    総説用の論文調査を続けているものの、私の苦手分野の知識を必要とするため遅々として進まない。100 本以上の論文を斜め読みしたので、今まで気付かなかった事が少しだけ頭に入って来たのが予想外の収穫?◆私の名前の入った論文を、検索中にいくつか発見。ついでに、ラボのあるPD が、以前、触媒関連の仕事に拘わっていたことにも気付いた。やはり、みんな似たような研究をしているのでしょう。◆問題は11/15 までに投稿せねばならないのに、関連論文がどれだけ出ているのかすら把握できていない点。どうしましょう?

October, 2012
    サウジに着いた直後も夕方になると睡魔に襲われたので覚悟はしていたが、帰国後も時差ぼけから解放されるにはしばらくかかりそうな予感。10 時間も時差があれば仕方がない?◆偶然にも「査読でアイデアを盗まれる」で検索すると、昔の記事が出てくる事に気付いた。その可能性を否定する気はないが、盗んだところで得られる成果は知れているだろうし、盗用の結果、同業者に汚い奴だと思われでもしたら、その後一切信用されなくなるのではないか?少なくともこちらでは、その手の噂は徐々に拡散しているように感じられるので。

September, 2012
    今回会った同世代の研究者は、皆さん頑張っているようだった。いい仕事が評価され、学会の実行委員になったのだろう。その一方、みんなで「先生、先生」と呼び合っているのを見て、薄気味悪くなった。◆気になったのは、研究費の繋がりが人間関係に強く影響している様に見えたこと。若手の先生には仕方がないのかな。◆一度講演をドタキャンすると信用回復に10 年かかるとか、名前を売るには地道な努力が必要なんて言う話しも出ていましたな。あの先生の口からそんな言葉が出てくるとは意外だったが、経験談なのでしょう。

August, 2012
    水素貯蔵の研究に関連し、DOE の人々がやってきた。彼ら曰く、多孔性材料を用いた水素関連の研究にかなり予算を付けた結果、その分野の研究はかなり進歩したが、水素の難しさゆえ、今後の先行きが見えにくくなっているとこぼしていた。さらに困ったことに、最近は、水素関連の仕事をしていた研究者が、DOE のメタン貯蔵に関する巨大プロジェクトに群がりつつあるため、せっかく投資してきた成果を、別の部署に持って行かれてしまうと嘆いていた。今まで考えたこともなかったが、DOE の内部にも縄張り意識があるのでしょうな。

July, 2012
    ベトナムのラボでは、最近、大型の研究費が採択されたのだが、その研究計画を見たところ科学的な記述がほとんどなかった。どうやら、詳しく書くとアイディアを盗まれるので、最小限のことしか書かないそうだ。◆採択されると、プロジェクトが終了するまでの2 年間で、論文を2 本出させねばならないとのこと。雑誌のランクは問われないとはいえ、試薬を買うのもままならない場所での2 年縛りはきつい。◆今のラボのPD で、2 年以内に論文を(投稿ではなく)受理してもらえそうな人は何人いるだろうか?質を問うとはいえ、少ないですな。

June, 2012
    UCLA では、Arrowhead の水が無料で飲めたのだが、ここではそんな様子は見られない。水を買うのも面倒なので、CVS で偶然目に入ったフィルターを買ってみた。職業柄その素材や効果は何となく分かるので、正直あまり期待はしていなかったが、水の味は思っていたほど悪くはない。片や、フィルターの交換は簡単で、濾過にも数分しかかからない製品が、こんなに簡単に手に入ると考えればバカには出来ません。役に立たない基礎研究で自己満足に浸っていては仕方がない、と暗に言われているように感じたのは気のせいかな?

May, 2012
    放射線関連のミニ研修に、許容範囲とされる放射線量が出てきた。放射線関連の仕事をしている場合は年間50 mSv まではOK で、妊娠中でも許容範囲は5 mSv だという。ちなみに後者は、パイロットの年間被爆量と同程度らしい。被曝量が0.1 Sv を超えると、発ガン率が25% 増加するそうだが、重要なのは、アメリカの平均的な自然被曝量は3 mSv 程であり、そのレベルの低被曝量では発ガン率の上昇が見られない事だろう(←常識とも言うが)。福島の数 mSv の被曝量に怯えることが、いかにばかげているかがよく分かりますな。

April, 2012
    政府が来年度の公務員の新規採用者数を減らすことについて、56% の人が肯定的に捉えているとは驚いた。バカなのは民主党(とイランに行った元首相)だと思っていたけれど、国民もそれに劣らずバカだったんだなぁ。採用減により軽減できる経費なんて、いくらもない一方、年配の職員を一人切れば新人なら2-3 人雇えるだろうに。そもそも、無駄な経費を削減する事が非常に難しいことは、民主党がここ数年でしっかり実証したはずなのに、公務員が絡んでくる途端に正常な判断ができなくなる人が全く減らないのはなぜなのだろう。

March, 2012
    ちょっとした空き時間ができたので、税金の書類を仕上げた。わずかながらのroyalty 収入のため、今回は1040 を使ったが、2 時間ほどで終了。しかし、税金+αの金額を見るといやになる。その天引き額の割合は、日本と大差ないようだけれど。◆これに加え、日本の不良債権に実家経由で投資しているのが問題。今日アメリカ人になったら(ってなれないけれど)、全額返還(= 脱退)請求はできる・・・訳ないよなと思いつつ検索したら、はやり無理。45 歳未満で国籍を喪失した場合も、年金がどこまで受給できるのか確信がもてませんな。

February, 2012
    共同研究者(他学科のPD)と論文をどう仕上げるか相談したのだが、なんだか詰めが甘い、と感じずにはいられなかった。その場にいた、私のラボで学位を取ったPD と比べると結構な差である。後者の彼は、レベルの高い雑誌に論文を投稿する過程で、ボスによってかなり鍛えられたのだが、この差は今後も縮まらないでしょうな。◆査読した論文の中にも、アメリカ人の若手PI によるひどい論文があったのを思い出した。そんなPI に指導された学生も、論文の完成度を上げる術を知らずに卒業するのだろうか。だとすれば酷い話である。

January, 2012
    あまり研究成果の上がらないメンバーを見ていると、いくつか共通点がある。まず、仮に目的の化合物ができた際に、どのように同定すべきか分かっていない。それで、どうやって合成法を最適化するの?しかし、そう言う人に限って、その手の質問をすると、逆ギレするのである。それから、どう見ても否定的な結果が出ていても、それを認めず(気付かず?)に突っ走ってしまう点。まぁ、要領が悪いと言ってしまえば身も蓋もないが、まじめに実験しているのでねぇ。何とかならないものかとも思うが、方向転換させるのは難しいでしょうな。

December, 2011
    日本では、沖縄防衛局長の不適切発言で盛り上がっているみたい?◆ラボのレバノン人が、数年前に一時帰国した際、その前日からイスラエルによる空爆が始まったそうだ。彼がベイルートに着いた時は、既に戦争の臭いが漂っていたとか。空爆で千人以上が死亡し、その中には彼の友人6 人も含まれていたという。またイスラエルによる攻撃のため、彼の家族はシリアへの避難を余儀なくされたらしい。◆沖縄問題になると感情的になりがちな日本人だが、現実の戦争の話を聞いた後では、なんだかなぁ?と感じずにはいられない。

November, 2011
    少し前に見つけた資料を斜め読みしてみた。おおざっぱな日系アメリカ人の歴史や、アメリカでの位置づけを知るには良くできている。まぁ、一般的な、日本人の性格がにじみ出ているような項目(勤勉さや離婚率など)もあるので、特別驚かされるような結果ではないけれど。印象的だったのは、日本人の帰化率が他のアジアの国々に比べかなり低いこと。二重国籍を認めていない国と比較しても同様の傾向がある事が示唆するのは、日本はいい国だと言うことなのだろう。それに気付いていない自虐的日本人は極東に沢山いるけれど。

October, 2011
    ボスが言うに、韓国の学生の多くは、あまり考えずに漫然と実験をしていることが多いのだそうだ。その口ぶりは、韓国特有の文化とでも言いたげだったが、果たしてそうなのか?少なくとも私が日本にいた頃の学生の多くは、研究内容について真剣に考えていた訳でもなかったので。おそらく、指導する側が「なぜそう考えたのか」と、学生を質問攻めにすれば、筋のいい学生は頭を使うようになる。その意味で、ボスが韓国で見た事は教官の能力不足を少なからず露呈しているのであろう。留学経験のある先生は多くいるはずなのだが。

September, 2011
    昨日見かけたWSJ のトップ記事が、アメリカの世帯収入が1996 年レベルにまで落ち込んでいる・・・だったのを思い出し、検索してみた。ここに出ているように、世帯収入の中央値は約 5 万ドル(日本はここ)。ただ、アメリカの製造業が海外進出した結果、安い製品が輸入できるようになると言うことは、巷で言われているように、世界レベルで見れば収入の均等化を意味するので、先進国の平均収入が下がるのは当然の帰結。その一方、高所得者が増加している事を考えれば、稼ぎ続けるには何らかの技術や才能が必要なのだろう。

August, 2011
    知っている人には今更感が強いが、アメリカでお金を稼ぐには学歴が必要という結果が出ている。クビになるリスクは日本の比では無かろうが、それなりに技術と学歴があれば、アメリカで働く事を考えるのも悪くはないのだろう。ただ、私が見落としていたのは、男女間による賃金差。日本より格差は少ないが、平均すると2割強の差があるとのこと。自分の知識や技術が収入増に貢献するか否かはGgeorgetown 大資料で調べれば当たりも付きそう?我こそはという方は、アメリカンドリームを・・・(その前にVISA とは言わない約束?)。

July, 2011
    最近、MadoffPonzi scheme に関するを読み始めた。「投資に絶対はない」が登場人物によって繰り返されているが、それを確認するための本ではない。読むべきは、騙された人々が、どんな背景から投資をするに至り、更に資産の大部分を失ってから、いかに困難を乗り越えようとしているのかに関する記述。彼らの多くが、恨み節を書き連ねるどころか、事件後に周囲の人々に支えられつつ、新たな生活を始めていたのは興味深い。被害者の多くが、greedy どころか、勤勉な労働者であったのは皮肉な運命にも見えるけれど。

June, 2011
    こちらの大学院生(理系)には、給料が出る。見方を変えれば、研究費が取れなくなると、学生をクビにせねばならない、と言うことである。そんな事が実際に起き、ある学生がこのラボに移ってきたのは、およそ二ヶ月前。ようやく、実験にも慣れてきたんじゃないかと思っていたら、何とこの秋から地元のMedical school へ行くことになったそうである。聞く所によると、彼の母親も、息子が家に戻ってくるのを喜んでいるとか。失業率は高止まりしているアメリカだが、クビになるも悪い事ばかりじゃないという点は、この国の強みなのだろうか。

May, 2011
    パキスタンの持つ核兵器の数が英国に迫りつつあり、更に近い将来フランスを抜き去り、米ロ中に次ぐ世界第4 の核兵器所有国になろうとしているとは知らなかった。だとすれば、ビンラディンの一件にも関連し、アメリカにとってパキスタンが敵か味方かをはっきりさせる必要がある事や、印パ間で核兵器開発競争が起こる事の現実味などが、確かに理解できる。なお、インドが核兵器の増強を始めたら中国も?いやいや、日本は近隣諸国が何をしようと大丈夫です、9 条が全てを守ってくれますから(と信じているバカはいるのだろうか)

April, 2011
    三菱総研経由でWPI に関するアンケート依頼(元はJSPS)が来たのだが、WPI の意義を認めさせるための誘導尋問のようだった。研究費をばらまけば、海外から研究者を招聘することはできるが、同じ事をしている国は他にもある。やるべきは招聘した人材を利用して日本の若手を育て、そんな彼らが将来有望な研究者になるのを密かに期待すること。次の世代が花開く事で、更にその下の科学好きを増やすような流れを作らない限り、日本の科学技術は必ずや衰退する。国家が目先に拘っているようでは、日本の将来も心許ない。

March, 2011
    地震関連のニュースも見飽きたので、そろそろ総括(?)。日本にはリーダーがいない、と言うのが第一点。トップが無能な上に無責任だから、最後に尻ぬぐいをするのは自衛隊や消防隊。二つ目は、日本人には一番酷いものをみんなで叩く傾向がある事。今は東電を叩く時期では無いのは言わずもがなだが、原発事故がなければ石油タンクの炎上が標的でしょ?更に付け加えるなら、物事を合理的に判断する能力の欠如。マナーは良くても、時にやっていることはピント外れ。日本の不治の病に対処しないと、国家の真の復興は・・・。

February, 2011
    最近「SNS 革命」の様な言葉を目にする事が増えたように思う。確かにチュニジアやエジプトにおける混乱ぶりを見れば無理もないが、釈然としない。例えばエジプトの識字率は(統計値より低く、特に若者は)50% ほどとも言われている事に加え、食うにも困る貧困層が多いと聞く。そんな人々がSNS を使い革命を後押し?ありえない。一般に単純化された話が好まれるのは事実だが、もっともらしい話に食いつき、鵜呑みにしないよう、ちょっとだけ(?)疑い深い心を持ち続けたい物である。ちなみに、専門家の中にはこのように言う人も。

January, 2011
    2-3 年前からだろうか、韓国の研究機関が海外の著名な先生を招聘し出したように思う。その理由は、研究のレベルを上げノーベル賞を、だろうと思っていたが、案の定やっちゃいましたね韓国。優秀な学生の援助は必要だが、お金を積んだって賞には繋がらない。そもそも、ノーベル賞は、誰も出来るとは信じていなかった事を実現しなけりゃ候補にも上がらないのだから、政府が奨学金受賞者を選ぶということから本末転倒。国家が出来るのは、研究が芽を出したあとに、さりげなくサポートする事くらいだと、私は思うのですが。

December, 2010
    ブッシュ前大統領の回顧録をのんびりと読んでいるのだが、それによると、当時のイギリスの首相だったブレア氏はブッシュ任期中に30 回もアメリカにやってきたそうな。イラク戦争などの重要懸案もあったとはいえ、タイトな結びつきだったこと。それと比べると小泉元首相なんて小さな扱いである。昨今の日本の首相はそれ以下なのだろうけど。が、それ以上の問題は、特に民主党政権下において、どこの国にも相手にされていない様に見える事。鎖国をしている訳じゃないのに存在感はゼロ。これじゃ、日本の将来が思いやられますな。

November, 2010
    量的緩和(QE2)に関する素人向けビデオがネット上に出ている。リーマンショック後、アメリカも財政出動を続けてきたけれど、結果的にGS を儲けさせただけで、経済や失業率がなかなか回復しない事に対するいらだちが見えてくる。その意味では、先日の中間選挙で民主党が歴史的な敗北を喫したのは無理もない。しかし、これに懲りず更にお金を刷り続ける=ドル安+インフレ傾向が続くとなると、ちょっと考えてしまいますな。私の老後(?)資金の目減りもさることながら、製造業を切ったアメリカに投資先があるとは思えないので。

October, 2010
    ノーベル化学賞に関する個人的な感想を述べるなら、順当な選定だったと思う。もらい損ねた人には反論されるかも知れないが(笑)。◆日本人が受賞したのはめでたい事だが、研究成果が実用化された頃に受賞する人が多い現実を顧みれば、現在の日本の科学技術のレベルが高いのではなく、30 年前の研究が再評価されているにすぎない。昨今の基礎研究への取り組みを見れば、日本からの受賞者は間違いなく10 年以内に消えるでしょうな。2番なんて論外で、断トツの一番にならない限り、候補者になることだってないのだから。

September, 2010
    某中国人曰く「中国の人民解放軍が強いとは思わない」とのこと。そりゃ、表向きは共産党の軍隊ですから・・・と言う事ではなく、共産党が彼らにとってに都合のいい情報をうまく宣伝しているのだろう。ついでに言うと、中国人の多くは、日中戦争についてもよく勉強している。中国人に反論するための知識(?)は、私も人並み以上だろうが、やり合うのは簡単じゃない。外人相手の不毛な論争を勧める気はないが、日本の学校も、もう少し自国の歴史(日教組の好きな自虐史ではない)をしっかりと教えねばならないのはほぼ確からしい。

August, 2010
    LA times の一面は広島の灯籠流しの写真になっていた。今年は、Roos 氏が参列するという、日本側から見れば画期的な年だったのかも知れないが、アメリカ国民(の約60%)の持つ、原爆投下に対する肯定的な評価が覆ったわけではないし、今でもこんな考え方の人は明らかに存在する。むろん、核廃絶が成し遂げられるに越したことはないが、現状維持どころか、パキスタン、北朝鮮、イスラエルなど保有国が増えているのが現実。その意味では、旧社会党出身の市長が唱え続ける理想論は、どこまで相手にしてもらえたのだろうか。

July, 2010
    NY Times に興味深い記事が出ていたのを知った。小さいとき(幼稚園)に、いい先生に出会い、いい刺激を受けた人々は、そうではない場合に比べ、成人してから高収入を得ている事が多いらしい。まぁ、あり得ない話では無さそうだが、その差はテストの点数には現れていないにもかかわらず、という点が印象的だった。なるほどねぇと自身の記憶を辿ってみたが、私の頭の中に当時の記憶は残されていない。強いて言うなら、並の先生に出会い、普通の教育を受けたのだろう。だって、私の現収入は、どう見ても平均以上ではないので。

June, 2010
    近々口述試験を受ける学生のための予行演習があった。今回私が感じたのは、アメリカの学生は、この発表の準備をする過程で、かなり密度の高い経験を積んでいるんじゃないかと言う点。ただ単に実験結果の説明をすればよかった日本の中間審査と違い、基本的な化学の知識が身についていないと乗り切れない。更に、予想される質問を分析すれば、研究者になるために必要な物事が何であるかも理解できるはず。修士課程に入る頃までは日本の学生の方が優秀だが・・・と言われるには、それなりの理由があるんでしょうな。

May, 2010
    両親から、国民年金代の約18 万円を払えと言う請求が。海外滞在中は任意加入だが、立替えているといわれると拒否もできない。しかし、このまま払っても、65(+α ?)歳になってから80 万円程度返ってくるだけで、そんなに良い投資とは言えない(←障害基礎年金の請求は可能)。もちろん、両親の言うように「〇〇さんのように日米の両国から年金をもらえるはず」となればいいが、この手の協定解説を見ても理解不能。結果的に、年金貯蓄額の勝ち組世代からの助言が、「更にむしり取るぞ〜」に聞こえるのは気のせいだろうか。

April, 2010
    某雑誌に投稿していた(共同研究先がメインの)論文がreject されたのだが、それに関するボスのコメントが印象的だった。要は超一流誌に投稿すると、似たような研究をしているレフリーは、その論文をreject しようと試みるので、そうする理由が見つけられないレベルに仕上げてから投稿することが大事だとか。確かにレフリーのコメントは手厳しかったが、本質的な問題を指摘していたのも事実。良い論文を出すのが仕事とは言え、この日記欄すら満足に埋められない私では、そこまでの完成度に持っていくのは簡単ではないけれど。

March, 2010
    「日本の産業を巡る現状と課題」という、経産省の資料を見て、なんだかどっと疲れが出たような感覚に。何かと叩かれている官僚だが、現状認識的確。とすると、そんな官僚のレクチャーに聞く耳すら持たない政治家が、無能・無策ぶりを国民に見せつけているのが日本の現状なのだろうか?でも、この資料を見て日本の将来を案ずる人は、海外へ移住してもおそらく生き残る。生き残るための能力(や心意気)のない人こそ、再教育の必要がありそうなものだが、バラマキ政府が存在する限りは、彼らが覚醒する事もないでしょうな。

February, 2010
    「COP15、日本は途上国支援に1兆7500億円拠出」だそうな(スパコン開発費は227億円なのに!)。環境問題への強い意欲を割り引いても、金銭感覚はほぼゼロ。◆一方、某企業の社長は数兆円の資産中の数億円の違いを認識していたとか?B/S が黒字になる会社と赤字になる国家の違いは、トップの資質の差も大きいのだろう。◆なお、最近のアメリカ人は、環境問題を政府が優先して扱うべき課題とは考えていない。ポッポがこちらの民意を汲む必要はないが、共産主義政権の樹立に加担している最近の愚挙は目に余りますな。

January, 2010
    昨年末のテロ未遂事件以後よく耳にする全身透視スキャナーは抑止力になるのだろうか。誤解を恐れず言うならば、イスラム教の根底にある問題は、中世以降、科学的な発展を自ら否定したため、西側諸国に比べ貧しい暮らしを強いられている点。そんな状況から目を背けさせるために、手段を問わず他国の足をひっぱっているならば、混乱により経済的損失を与えた今回の一件ですら一定の成果。おそらく、彼らの労働生産性が上がらない限りは何らかのテロ行為が続く。となると、必要なのはTSA ではなく悪運なのかもしれない。

December, 2009
    最近のガス代の請求書を見たらおよそ$50 だった。この額、昨年の約5 倍。ヒーターを使うと毎月$40 ほど余計な出費がかかる事を意味しているのだが、贅沢だとかCO2 を出すな、なんて事をほざく輩が何人いようとも、寒さに震えるくらいなら、毎日100 円ちょっと払う方が精神衛生上いいような気がする。なお面白いことに、部屋が暖かいために室内では半袖でも過ごせるためなのか、今年は外に出る時も比較的薄着のままであることに気付いた。中途半端な節約は、長い目で見ると体に余計な負荷を与える事になるのだろうか。

November, 2009
    巷には、日銀がお金を刷れば(国債を出せば)リフレが起き、景気回復に繋がると唱えている人もいるらしいが(現実にはデフレになる)、お金の流通速度は?直感的だが、お金を回すには、iPhone などのように無理してでも買いたくなる物を作るのが一番。そのためには、ユニークな製品を生み出すための投資に加え、野心のある若者に起業を促すなど、人々を守りに入らせない環境が必要。結局、国民の目が年金や格差に向くと言うのは、日本に活気がない証拠。潜在成長率を上げるのに必要なのは、バラマキではないですぞ。

October, 2009
    日曜日とはいえ朝からミーティング。その中で話が脱線するうちに、その場にいた二人の先生が「日本の新しい首相はCO2 排出量の削減に意欲的だ」と感じているのを知り愕然とした。おそらく日本の発したメッセージは、総理の認識以上に、国際社会にとって挑戦的だったのではなかろうか。だいたい、日本のCO2 排出量はGDP 比で全世界の3-4% だと言うのに。一方のアメリカは、CO2 削減には無頓着。神様が何とかしてくれると信じている人すらいる、なんて言う話を聞くと、削減へ向け努力する事の虚しさを認めずにはいられない。

September, 2009
    少し前に「米軍の思いやり予算に年6000億円ですよ」と言うコメントをくれた人がいたのを思いだした。その額の妥当性を議論する事も重要なのだろうが、JAL に毎年数千億円がつぎ込まれていることを同時に認識している人は、案外少ないんじゃなかろうか。有事の際に、在外邦人を助けにすら来ない(国営?)航空会社に、思いやり予算?これこそ、冷静に考えればおかしな事である(つまり赤字体質なら一度潰せばいい)。一部の日本人は、税金が絡むととかく感情論に走りがちだが、大局を見誤らないよう気をつけたいものである。

August, 2009
    論文の査読のため、人様の書き物に目を通したのだが、なぜ、無意味な研究をしている事に気付かないのか、と言うのが正直な感想。政府から出た予算(税金)を使って実験をしているならば、目的もなく試薬を混ぜているという雰囲気が論文から伝わってくるのは問題。せめて、研究者としての矜持が伝わってくれば、国民も納得するだろうに。そりゃ、中国では、研究費を取るのは簡単な事なのかも知れないが・・・。なお、査読はある種のボランティア。査読者を失望させる原稿は投稿しないでもらいたい物である(自戒を込めつつ)。

July, 2009
    信用度が低いとクレジットカードが作れないのはどこでも同じだろうが、某PD もその被害(?)に合ったらしい。一昔前は、数100 ドルを銀行に差し出せばその範囲内の買い物が可能なクレジットカードが作れたものだが(もちろん、信用度が上がると、預けていたお金は返ってくる)、最近はカード会社もそこまでして顧客を増やそうとは考えていないと言うことなのだろう。今まで杜撰な経営をしておきながら、景気が悪くなると手のひらを返し・・・。よく聞く話だけれども、余計に信用を失っているように感じるのは気のせいなのだろうか?

June, 2009
    どちらかと言えば、私はラボ内における共同研究をあまり好まないのだが、いくつものプロジェクトに巻き込まれているように感じる。一度、そんな状況に置かれてみると、ラボ内のあるチームの成果は、別のチームには必ずしも評価されていない事に気付く。誰しもが自身の成果を過大評価(思い込み?)しがちだと言うことなのだろうか?その一方、得てして評価が割れる成果とは、短時間で成された研究である事が多いのも事実。どこかで手を抜いて、いい雑誌に論文を載せようとしても、分かる人には分かってしまうと言うことか。

May, 2009
    某中国人のPD に言わせると、中国政府が好きな人などいないらしい。今まで見てきた一握りの中国人の様子から察すると、彼のコメントはどちらかと言えば少数派のようだが、海外での生活が長くなり、様々な情報に接する機会に恵まれると、政府の方針に懐疑的な考えを持つ人も出てくるのだろう。なお、そんな彼らに、韓国政府は嘘つきだと言うと、その多くは笑い出す。良くも悪くも、中国人にとっても、韓国政府汚い手口は目に余るのだろう。もっとも、中国だって他国のことを言える状況にない事は、疑う余地すらないはずだが。

April, 2009
    飛翔体の発射実験は、日本中を騒動に巻き込んだようで?発射場所や時期が分かっていながらこの有様では、真の国防という点から見ると心許ない。ミサイルが打ち込まれたら、誤報や9条どころの話じゃないのだから。ならば日本も核武装すればいいと考えている人もいるようだが、短期間で核ミサイルを開発する能力は、日本にはない(原発とは別物)。核武装の是非(神学論争)はさておき、物事を感覚的に判断しているうちは、国家としての方向性が定まるはずがない。今回の一件が、学習のきっかけになればいいけれど。

March, 2009
    日本から知人がやってきた。4 年前は、廃液タンクの視察が目的だったが、今回は、英語学習の現場を視察するのが表向きの理由だったようである。実際には、日本における英語学習がいかにピント外れになっているかについて、ビールを飲みながら、議論しただけ。あとは、あまり関係のないUCLA の語学学校の写真を撮っていたから、それらを使って報告書を書くのであろう。現実には、必要に迫られれば誰もが英語を使うのだから、そんな環境を用意してしまうのが一番。授業・テスト・食堂などから日本語を排除すればいいのです。

February, 2009
    この数ヶ月、他人の論文を読んでコメントせねばならない機会に恵まれすぎている。研究がうまくいかなかった結果、つまらない論文に仕上がるのは仕方がないが、論文としての体裁を成さないまま投稿されている「英語で書かれた文章」が非常に多いことに呆れている。未完成のまま投稿された論文のデータを信用する審査員などいるはずがないのは、一度でも論文の査読をすれば分かるであろうに。この場で言い訳をしても仕方がないが、私が審査した場合のreject 率の高さは、私の性格ではなく、論文の質に起因するはずである。

January, 2009
    ある化合物をモデルキットを用いて組んだのが数日前。これ何だか分かる?と数人に聞いたものの、誰も答えられない現実に直面し愕然とした。10 年程前、Science 誌に発表されたその化合物の名前を、ラボで知らない人はいないであろうに。そこから分かるのは、学生のほとんどは、扱っている化合物の構造をろくに理解していないのに、そこに機能を見出そうとしていると言う、お寒い現実。研究に予期せぬ結果はつきものだが、失敗するべくして失敗する確率を下げた方が、効果的に研究が進むように感じるのは私だけだろうか。

December, 2008
    最近の内定切りは歓迎すべき事じゃないが、根底にある問題が議論されることは少ない。履歴に穴を開けずに卒業式の翌日から働く事をそれほど重視せぬ社会においては、長期にわたる就活の必要性はおろか、内定取り消しが絶望感をもたらす事などあるはずがない。若い人材を手っ取り早く採るには、現行の制度は便利なのだろうが、勉強したい人は勉強し、働きたくなったら会社へ行くと言う、こちらのやり方と比較すると、硬直感は否めない。近年の離職率を考えれば、青田買いにも限界がある事は明らかなのだから。

November, 2008
    ひょんな事から、今まで私が見てきた数々の共同研究を思い浮かべたところ、おもしろい事に気が付いた。誤解を恐れずに言うならば、ボスの知名度に釣られ何となく共同研究を始めた場合は、必ずしも成功していないのだが、特定の人間の持つ技術をあてにした場合は、その成果が論文になっている事が多い。実験には結果が予測できない事も多いが、他人が一目置くような技術や知識がないと長期的には研究者として生き残れないという事か。深く究められていないものは研究とは呼ばない、と言われればそれまでなのだけれど。

October, 2008
    知人からのメールに書かれていた、研究費申請の時期だがアイディアが・・・、と言う言葉を見て妙な違和感を覚えた。しばらくして気付いたのは、私のラボとの違い。つまり、ボスが有名になりすぎたこともあり、ここでは大型予算を取るのも比較的簡単。その一方、予算の出所を満足させる成果を要求される点は結構なプレッシャーに。大型予算が付くのは、その目標を短期間で達成したいと言う省庁の思惑故だが、予算額と研究の自由度は相反すると言う現実は、長い目で見た場合必ずしもいいことばかりではないような気がする。

September, 2008
    某学生が装置の調子がおかしいと文句を言っていた。私は端から見ていただけなのだが、どうやら問題は、装置そのものではなく、最近交換した酸素ボンベだったことが判明。99.999% の高純度なんて言いつつ、かなりの不純物が混じっていたのであろう、きっと。業者の持ってくる物が信用できないとは情けない話だが、幸い(どこぞの国の食品問題とは異なり?)注意深く実験操作をしている限り、不可解なデータを見過ごす事はあまりない。文句ばかり言っていても何も解決しないだけに、自分の身は自分で守るしかなさそうである。

August, 2008
    先日送別会を催した例のPD は、今日が最後だという。最後の挨拶を兼ね「いずれ近い将来、共同研究をしよう」とみんなに触れ回っていたのだが、それを聞いた別のPD は「共同研究をすれば、今のボスを打ち負かせるんじゃないか」と言う。むろん、束になってかかれば、彼が将来やるであろう実験の先を越すことも可能だろうが、彼と似たような研究をするのが本当にいい事なのかというと、これまた別の話。独創的な研究を発案し、遂行するのは、口で言うほどやさしくないと言う、ボスの高笑いが聞こえてきたのは気のせいだろうか。

July, 2008
    ここのラボでは年に二回、大掃除をすることになっている。近いうちに別の職場に移る事になっている某ポスドクは、これが最後の大掃除、と言うこともありちょっとうれしそうに(?)していた。しかし、今後は薬品を手にすることもないかも?と言う彼の言葉は、何だか野球選手が引退してコーチになるような状況とダブって見えてしまう。むろん、彼の研究に対する熱意を勘案すれば、これこそ潔い決断なのだが、何のために学位をとったのか。卒業させてもらった後に能力不足を知ることになったとしたら、ちょっと不幸なことかもしれない。

June, 2008
    今回の会議では、発表内容を第三者が評価すると言うのが表向きの話。しかし、実際にはお役人を納得させるため、多くの発表者が聞こえのいい話に終始していたような気がしてならない。つまり、どうやってグループを運営しているか、こんな実験をすればきっといい性能が期待できる、と言った感じで。もっとも、元締めのお役人は、本質的な問題点をほとんど理解していないので、有識者が酷評しない限りは(その研究分野を潰さないためにも通常は手加減する)、予算の無駄遣いと言う悪循環が断ち切られることはなさそうだけれど。

May, 2008
    優れた研究成果をあげたPD に対する表彰式があった。ラボの一人が受賞した物の、ラボでの複雑な人間関係故に、必ずしもメンバーから祝福されないという皮肉な結果に。さらに、どうして(私は)応募しなかったのかと、数人から聞かれる始末。選考では、いい雑誌に論文を出したかを見るのだから、この結果は自然なはずだが。私の方が優秀なんじゃないかと言っていた人に限って、ボスに使えないと思われている事を考えれば、次は俺が取る、と言う野心がない様では、研究者としての大成は難しいという事なのかもしれない。

April, 2008
    今回の学会では、いつも以上に研究者の性格やり口がよく見えたように思う。私が最初に見つけたと言いたくなる気持ちはよく分かるが、ライバルの成果に意図的に無視したり、ライバルが作った化合物を後から作った人が、別の名前を付けたりするのはその一例。そんな事をする人がいれば、その発表にケチをつける人が出ないわけがない。本来ならば、その研究分野を発展させねばならないというのに、やっている事はむしろ反対。業績が研究費に直結する世界とはいえ、自己主張も度を超すと見苦しいだけである。

March, 2008
    ラボには英語力に難のある人もいるが、そんな彼らの英語の勉強法は、彼らの研究スタイルにも似ているような気がしてならない。ただテレビを見ればいいと思っている人は、特に目的もなく漫然と実験をしているように見えるし、あまりに基礎的なテキストばかりを眺めている人は、結果が分かりきっているような実験ばかり続けているように思う。アメリカ人が日本語を話さないのが悪いと居直り、英語の勉強なんてろくにして来なかった私の研究?実験も同様、手を抜けるだけ抜いているとは口が裂けても言えないけれど・・・。

February, 2008
    某新聞を見ていたら、政府は「ロシア政府から直接排出権を取得する交渉を始める」と書かれていた。そもそも最初から無理があった削減目標を達成するため、税金を投入するとは何事か。排出権の取引は、金で物事を解決しようとしているだけで、本質的ではない。達成は無理だと宣言する一方、出来る範囲で途上国への技術協力をする方が、日本の得意分野を生かす意味でも理にかなっているはずなのに、なぜつまらぬメンツにこだわるのか。日本が免罪符を買い漁るうちは、絶対に尊敬される国になる事はないであろうに。

January, 2008
    最近気になったのは、再生紙中の古紙含有率の問題。一般に、再生紙の品質は回収した紙の品質に左右される。つまり、質の悪い紙まで回収し、再利用を促進させよう物なら、再生紙の品質は却って低下し、エネルギー消費量も増える。再生紙を買って環境保護に協力した気になる人も多いのだろうが、紙を作るまでの工程や技術的な問題に加え、最終的に燃やすまでの全環境負荷について考えている人はどれほどいるのか。普段は全てを現場に任せながら、偽装を知るや否や文句を言い始める人々に辟易して久しい気がする。

December, 2007
    妹のブログを見た母親からの手紙に、あれがXX 歳になる社会人の書くものかと、呆れ果てたような文面が。それを見て思い出したのが、最近の世論は年金問題医療問題、それに食品偽装問題だけ反応する・・・と嘆いていた某サイト。両者に共通するのは、豊かになったのはいいけれど、身の回りの出来事以外には全く目が向かない人間が急増していると言う事実。そんな人間が、日本の今後の世論を形成してしまうという意味で、対岸にいる身ではあれ、今後の日本の先行きを不安視してしまう今日この頃である。

November, 2007
    ボスが、半年で成果を出さないポスドクには、2 年目の契約を更新しないと言い出した。ラボの限られた予算やスペースを有効に利用するためには当然の発想だが、成果の有無はプロジェクトの難易度にも左右されるという意味では、見た目の成果がすべてとなると、それなりの運が必要かもしれない。一部のポスドクは、仮に半年後にクビになるなら、その期間はSanta Monica のビーチで楽しく過ごすとうそぶいていたが、不本意な形でラボを去る人が続出しないことを祈るばかりである(もちろん、他人事じゃないんだけれど・・・)。

October, 2007
    東大が親の年収が400 万円に満たない学生の授業料を免除するという方針が波紋を広げているとか。東大だからその財力があると言うのが一因だろうが、アメリカの大学では、優秀な学生の学費を免除するのは普通のこと。なのに日本で論争の元になるというのは、人間を教育するには時間とお金が必要だと言う現実が、はっきりと認識されていないからに過ぎない。そこそこのレベルの学生を量産するのではなく、アメリカにいる優秀な学生の多くが親の年収に関わらず奨学金を授与されている事を、日本は思い出すべきであろう。

September, 2007
    朝起きてテレビを見たら、Bush のイラク電撃訪問のニュースが流れていた。昨年のThanksgiving の時にも電撃的に訪問しているので、今回のLabor Day を利用した訪問が特別目新しく映ったわけではないが、良くも悪くも軍隊をイラクに駐留させている国のトップが、折を見て現地に足を運んでいる姿は、彼のある種の執念(?)を感じ取るには十分である。口先では国際貢献を吹聴しても、激励のために派兵先を訪れる日本の総理はどれほどいるのだろう。間接的ではあれ、日本のトップの頼りなさを垣間見たような気がした。

August, 2007
    WI で再会した知人との会話の中に、彼の妹がLA へ引っ越すと言う話が出てきた。メキシコに留学経験のある彼女はLA の高校でスペイン語を教えるらしいが、彼自身は英語しか話せないとのこと。「日本語だけしか話せないよりはいいんじゃない?」と聞いたところ、"I'm lucky." という言葉が返ってきた。日本語が英語より劣っているとは全く思わないが、研究をする上での英語の意味合いを考えると、彼の本音が見て取れなくもない。優秀な研究者でさえも、いくつかの弱点があると知れば、私の気も少しは軽くなりそうである。

July, 2007
    日本のニュースを見たら、選挙一色だった。その結果はあらかた予想通りだったが、相変わらず選挙民の意識はずいぶん低いところに設定されているような気がしてならない。年金問題は重要だが、それは必ずしも自民党の失政とは言い切れず、民主党の某支持母体の体質こそが諸悪の根源というのが私の本音。今回の選挙結果が結果的に政界再再編につながるならいいが、叩けば埃が出るのは民主党も一緒。成熟した政治を求めるなら、国民自身が成熟していなければならない事を確認するには十分だったけれど・・・。

June, 2007
    久々に、日本から知り合いがやってきた。ゆっくりと話をする時間は相変わらず取れなかったのだが、会社にいるうちに、自分の研究成果を何らかの形で製品化したい、という彼の話は妙に印象的だった。そのためか、大学の研究機関ももっと応用研究を・・・というのが彼の弁のようだが、私自身は、応用展開が可能な範囲において夢を語るのが大学の役目であって欲しいと思う。それなりのレベルの学生を量産するなら、前者の方が圧倒的に有利だが、そんな雰囲気の中ではbreakthrough になるような仕事は難しいだろうから。

May, 2007
    某ポスドクにとって最後のゼミがあった。私は最近彼が何をしているのか全く把握していなかったのだが、彼なりに色々考えて実験をしていた事を知り一安心。しかし、あちらこちらに粗があるので、話を聞いていると「???」と言う点が散見されたのは残念だった。データの解釈が雑なので信用しきれない、と言うことは、普段から、しっかりと考える習慣が無いための産物。もっともらしい答えをネットで探し満足している世代ゆえの問題と言うことなのかもしれないが、自身の研究内容くらいは自分の頭で考えたいものである。

April, 2007
    Proposal に関し、私が感じる日米の決定的な違い。大型予算をとっても、人件費に割り当てにくい日本では、少なくとも以前は、高価な機器の導入費に充当することが多かったが、アメリカでは、人件費と消耗品がおよそ1:1。これが意味するのは、現有の装置で研究が遂行できる事を示さねばならないため、過去の業績が重視される事。新参者が何を言っても信用してもらえないとなれば、生き残るにはいい研究を積み重ねるしかない、と言うのが現実。むろん研究費を分配するならば、計画の現実味を問うのは当然なのだけれど。

March, 2007
    某省庁で働く人がラボにやってきた。研究の進捗状況を確認するのがその趣旨だが、「税金はいかに無駄に使われているか」を実感するにはいい機会だった。呆れるほどに研究の中身を理解していないボスの発表に、何の疑問も抱かなかった担当者。そんなOfficer が、政府に予算を申請する訳だから、プロジェクトの幾つかが、何の結果も得られないまま打ち切られるのは無理もない。どうやら、カナダも似たような状況らしいが(そして、日本も)、研究費の獲得が目的のプロジェクトが存在することを、一般人も知るべきである。

February, 2007
    カナダでは昼間の電気代を従来の2倍(夜は半額)にする計画があるらしい。要は、発電能力に余裕のある夜間に電力使用を集中させ、地球温暖化の一因かもしれないCO2 の排出量を減らすのが目的だが、その排出量を減らし(=CO2 絶対量の増加を抑制し)たければ、CO2 源である化石燃料の利用を止める以外に手はない。つまり現行の様々な取り決めや政策は、延命絶対主義の終末医療と何ら変わらない。「旧石器時代の生活に戻れ」と誰も口にしないのは何故なのか?私はエセ環境保護主義者の偽善が大嫌いである。

January, 2007
    日本の「納豆ダイエット」の一件はある意味深刻な出来事である。捏造が後を絶たないのは、視聴者の大部分がその真偽を見抜く力を持たない事が根底にあり、それに乗じた放送局がいい加減な番組を放送しているだけのこと。そもそも、食べた分だけエネルギーを消費した場合、物質収支という面からみれば太る理由はどこにもない。それを忘れ、楽してダイエットを・・・と目論んだ挙げ句のこの顛末。テレビ局にも非があるにせよ、納豆を食べる前に、脳みそを入れ替えた方が良さそうな人が数多くいるのは嘆かわしい事である。

December, 2006
    M 新聞の社説を見る限り、日本でも労働時間のあり方が議論されているようである。アメリカの企業には「給料は時間ではなく成果に対して払う」と言い切る人も多いが、無能な人でもクビにはならない日本では、成果主義は馴染まないだろう。つまり、仕事一つあたりの単価では、仕事ができる人ほど、低賃金で働かされる事も珍しくはない。「人間の平等な権利」と「給与格差の抑制」が等価だという勘違いは、長い目で見た場合に会社の繁栄とは正反対に作用しそうなものだが、日本の企業はどう対処していくのだろうか?

November, 2006
    化学科の学生や教官を選考の対象にした表彰式があった。優秀なTA や顕著な研究成果を上げた教授などが賞をもらっていたが、そのやりとりは、日本式とはずいぶん異なる。つまり賞状を両手を差し出し恭しく受け取る人などおらず、渡す方だって右手しか使わない。ただ、社会へ出て成功した多くの卒業生が、母校のために賞を創設している姿を見ると、日本の授与式が形式にとらわれているだけの物にも見えてくる。礼儀を否定する気はないが、社会の成熟度という意味では、こちらの方が数段上手なのかも知れない。

October, 2006
    数日前、私の論文を見たどこかの大学の学生さんから、その中のある化合物の合成法を教えてくれと言うメールが来た。決して難しい合成ではなく、ちょっと調べればデータベースで発見できそうなレベルの物なのに・・・と思ったが、仕方なしに返信しておいた。その時に頭に浮かんだのが、知人の言葉。聞くは一時の恥とは言っても、多くの場合、いつも聞いてばかりいる人はろくな質問をしたためしがないとか。質問する事が悪いとは言わないけれど、何も調べもせずに教えてくれと口にするのは、避けるべき事のようである。

September, 2006
    飲み会の席で、ボスは55 歳になったら研究の第一線からは引退する、と言い出した。欧米では、仕事の幕引きが早い人も珍しくないと言う意味で、彼のコメントは驚く物ではないが、50 歳にならないと教授になれない日本のシステム(特に国立大)が頭にあると、常識を逸した判断にも映る。若ければいい仕事ができる訳でもないが、若手にも積極的に機会を与えるくらいじゃないと、長い目で見た場合に、欧米の大学や企業に太刀打ちできなくなるような気がするが、日本の研究機関はどのように変わっていくのだろうか?

August, 2006
    ラボの某ポスドクが、最近英語が下手になったとこぼしていた。彼の母国語は英語だが、最近、親に電話をするたびに、英語を直されるのだという。この言語能力の低下、他人事ではない。普段日本語を使わない私は、その能力を維持するのも大変。つまり、海外で暮らすうちに、まともに使える言語を全て失う可能性だってあるのだから。良質の文章に触れ、言葉を正しく操る人と話をする事は、日本語を学ぶ上で必要不可欠だが、そのような機会があることの有難みを理解している日本人は、日本国内にどれほどいるのだろうか。

July, 2006
    最近は、自由研究お助けアイテムが売られているらしいが、アイディアを具現化する為の道具ではなく、それ自体を売買するとは世も末。記事を見て思い出したのは、学会の講演中にその内容を撮影していた中国人研究者。「中国には優秀な研究者が多くいるが、アイディアの盗用も多い」ともらしていた人がいたが、これらのアイテムも同様。自由研究用の商品が、結果的に、自分で考えて研究を進めるという過程を破壊してはいないだろうか。研究者としての矜持は、小さな自由研究の積み重ねによって形成されそうなものだけれど。

June, 2006
    ラボのある院生は最後のTA を終えた時、学部生から寄書をもらったそうだ。同様の話を時々耳にするという意味で、アメリカでは、このような形の謝意は決して珍しくないのだろう。方や日本では、師弟関係が強調されてしまい、真の意味で教師が学生に感謝される事は少ない(気のせい?)。やる気のある学生の才能を引き出すと言う教育(education)の原義を、教える側さえもが理解していない事がその一因なのだろうか?件の寄書は、教える側の役目、そして教える事の難しさについて再考する機会を与えてくれたように思う。

May, 2006
    海外でプレーをするスポーツ選手が日本に戻ると言う話を耳にするたびに、これは他人事ではない、と感じる。予算や物理的な制約が存在する限り、集団に利益をもたらさない者が切り捨てられるのは自明の理。まじめか否かなど、問題ではない。このようなクビと背中合わせという問題(恐怖感?)は、ひも付き研究者として海外に行くだけでは、実感することも無いであろう。一般的には"出戻り"と称されやすいスポーツ選手の帰国だが、そんな結論を出すに至った過程における彼らの苦悩が、私には分かるような気がする。

April, 2006
    ボスから手渡された雑用のための資料の中に、アメリカの大学のランク表が含まれていた。化学系全般ではMIT, UC Berkeley がトップで、それにCalTech, Harvard, Stanford が続いていた(UCLA は12位、UM は17位)。毎年順位が出るということは、教授が必死に研究をせざるを得なくなるだけでなく、優秀な人材の引き抜きに代表される大学間の争奪戦が発生することを意味する。人材の流動化を若手研究者に求める日本のやり方とはひと味違うと言う意味で、この手の表が日本の文化に馴染むことは当分無いかもしれない。

March, 2006
    小学校5年生から、週1回程度の英語授業を必修化すべきだ、という答申中教審から出されたらしい。10 歳の子供に、いくら英語の楽しさを教えたところで、その後の中学・高校で、文法や読解中心の授業を強要すれば、誰もが英語に対する興味を失うであろうに。然るに、そんな授業の結果は、海外で買い物ができる程度の英語力。日本人に必要なのは「貧弱な語彙力を駆使し、外人と渡り合う」ための英語である。だからこそ、その根幹を成す論理的な思考力を、小学生のうちから鍛える必要があるのではなかろうか。

February, 2006
    アメリカにいてよく見かけるテレビCM の一つは「私はこれで50 lbs 痩せた」という類のものであろう。確かに、デブ人間(物体?)と使用後の人間を並べた映像を見る限り、何らかの方法で痩せることが可能なのは理解できる。しかし、根底にある問題は、なぜそうなるまで放置していたのか、という事ではなかろうか?世の中には、いつの日か魔法の薬や道具が出てくると信じている人が少なからずいるようだが、この手のCM を見ていると、手遅れになる前に対処する事が、案外物事をうまく進めるための秘訣であるような気がしてくる。

January, 2006
    ラボのポスドクに、たかが2 ページの英文を書くのに3〜4 日かかった、と言ったところ、英語を母国語とする彼らでも、それは決して楽じゃない、と言う返事が戻ってきた。確かに、私が時間を要したのは、その構想を頭の中でまとめた時。つまり、単なる英訳なら半日あれば十分。話の筋が出来ていれば英語は直せるが、中身がダメなら手の施しようがない、と言う彼らの言葉を併せて考えれば、日本語が書けない人間がNova に通っても時間の無駄なのだろう。そんな人のための日本語の作文教室は、どこかにあるのだろうか?

December, 2005
    私がアメリカにいる間、牛肉に不安を感じた事や、BSE牛肉を食べて死んだアメリカ人の話を聞いた記憶は全くない。それにも関わらず、牛肉輸入解禁を論じたM 新聞社の記事は、元を正せば、その危険性を誇張して報道した故のつじつま合わせにすぎないというのに、白々しくも、消費者の信頼を・・・、と連呼している。メディアの視聴率稼ぎの報道により(思考停止状態の日本)国民が洗脳されると、結果的に、無駄な税金が投入される、と言う形で返ってくるだけに、こんな対岸の茶番を嘆かわしく感じる今日この頃である。

November, 2005
    NYYの某選手は、必要とされているか否かを年俸で判断したようだが、科学者はどうなのだろうか?最近のC&ENによると、アメリカではPh. D取得者の初年度の給与は$65000(その額は学部卒の2倍!)。雇用者の平均でも、Ph. D卒が$93000と学部卒($63000)の1.5倍になっている。学位取得者を雇うのは大手企業が中心になるにせよ、給料から見れば、日本の博士がいかに低い評価しか受けていないかがよく分かる。日本では、景気のいい某T社に就職しても初年度から700万円もらえるかどうか疑わしいのだから。

October, 2005
    ついに今シーズン23個目の熱帯暴風雨(Tropical Storm, TS)が発生。しかし、23個のTSが発生が発生したのは1991-93年以来と言う事を知る人は少ないはず。これは、CO2が問題にされる遙か昔、日本の環境問題=酸性雨だった(?)頃にも、数多くのTSが発生していた時期がある事に他ならない。マスコミが吹聴する「CO2濃度の増加→地球温暖化→TSの異常発生」の三段論法は本当に正しいのだろうか?考えることを放棄した日本人にとっては、マスコミの愚劣な報道の方が、台風(TS)よりも危険な存在に見えて仕方がない。

September, 2005
    某新聞のサイトに、「東大教授の論文に根拠得られず」と言う記事があった。調査結果がクロじゃない限り、再実験を要請される事などあり得ないが、データの偽造と、再現性に乏しい結果を投稿する事の違いはどこにあるのだろうか。日本では、怪しいデータでも、論文数を稼ぐために投稿する人が後を絶たないが(研究倫理の欠落)、そんな論文でも数が増えれば評価されるシステムに問題があるような気がしてならない。一般的に言って、たくさんのゴミを集めても、それが使えるモノに変わることがないのと同様に。

August, 2005
    終戦の日関連の記事が、こちらの新聞にも載っていた。"Japan's WWII cruelties still rub neighbors raw"と言う見出しから、日本が侵略の謝罪しようと、それが、相手国家に全く受け入れられていない現実がよく分かる。むろん、彼らが謝罪を受け入れる事などないだろうが、最近のちょっとした小競り合いに必ず歴史問題を絡めてくる彼らのやり方を見れば、こんな状態になるまで現実を直視してこなかった戦後の政治家も戦争犯罪人のように感じられる。保身のために新党結成、なんて脳天気なことをやっている場合なのだろうか?

July, 2005
    某学生さんのD論発表会(Final defense)があった。Natureに論文を出していても、卒業までに7年近くかかった、というのは、日本の「論文の数さえ揃えれば卒業できるシステム」とはずいぶん違う。この「数よりも質」と言う発想が、卒業後にグラントやポストを取る時にも顔を出すわけだから、アメリカの研究の方向性が日本のそれと異なるのは無理もない。短期的に見れば、数さえ増えればいいという考え方(評価法)もいいかもしれないが、百年の計を描けない国家の元では、まともな科学技術が育つことなど決してない。

June, 2005
    私と同世代の先生のTenure talkがあった。若くても終身雇用の機会を与え、優秀な教員を確保するやり方は、任期制の導入を目指す日本とは正反対。それでもアメリカの大学のレベルが保てるのは、研究に専念できる場を提供すると共に、それに応じた成果を求めるという「飴とムチ」作戦が機能しているからであろう。成果が出ない(=予算が取れない)と大学院生に給料を払えなくなるアメリカと、待っていれば無料の労働力(=学生)が配属されてくる日本、研究に対する真剣味に差が出たとしても、何ら不思議はない。

May, 2005
    こちらはMemorial dayでお休み。その由来は、南北戦争の戦死者を弔うことだったにせよ、戦死者を追悼するという点では、どこぞの大臣が靖国神社に行くのと大きな差はない。一般的な戦死者の追悼ではなく、A級戦犯が合祀されていることを強調する一部の国を見ていると「たまたま戦争に勝ったのをいいことに、言いたい放題」という姿しか見えてこない。戦後60年を迎えるというのに、未だ枝葉末節に強くこだわるということは、彼らの方こそ、先の大戦から何も学ばなかったと言うことなのではなかろうか。

April, 2005
    3月末でラボから去っていったポスドクが、最後に「ポスドクトレーニングの修了証」がもらえると言っていた。書類自体に価値があるとは思えないが、ポスドクをどう評価しているかと言う意味で、日本との意識の差が見え隠れしているのは興味深い。教授を目指すならポスドクになるのは当たり前で、会社によってはポスドク経験者しか採用しない国と、ポストがないからポスドクになる日本を比べれば、どちらの国の方が、研究者の層が厚くなるかは言うまでもない。政府の「技術立国復活・・・」という言葉が、私には、むなしく聞こえる。

March, 2005
    アメリカにいても、ライブドアvs.フジテレビのやりとりに関する噂は耳にする。ホリエモンに対する感情はさておき、後者の連中のコメントを咀嚼すると、同社のブランドイメージに、自分(社員)の価値を勝手に重ね合わせているだけのこと。これは、NBAMLBの選手が、突然のトレードの翌日から新チームのために仕事をするのとは対照的。つまり、奢りやプライドはあれど、仕事に対するプロ意識が欠落していると言わざるを得ない。新株予約権発行を差し止めた司法判断の妥当性を、そんな彼らが理解できるのだろうか?

February, 2005
    A新聞の社説に、地球温暖化を防ぐための京都議定書が、16日に発効・・・と書かれていた。一見、CO2の総量が削減できるかのように謳ったこの取り決めも、実際は、年間放出量をたったの数%減らせと言っているだけだから、CO2の総量が増え続けることに何ら変わりはない。つまり、100年後に来るかもしれない危機が数年間先送りされる程度のものA新聞が問題視したアメリカの脱退こそ妥当な判断で、日本のお役人は算数ができないことを世間に示しただけの議定書を批准する理由など、どこにあるのだろうか。

January, 2005
    12月の半ばに、Xmasメールを大量にBcc送信したのだが、意外にも、大学の先生方からすぐに返事が戻ってきたのが印象的だった。やはり、人間関係は重要なのか、と感じさせられた一方で、むしろ目下の人からのレスポンスは極めて鈍いのに、唖然とさせられた。世代の違いではなく、「お前に恩義は感じていない・・・」と言うのが彼らの言い分なのかもしれないが、いかがなものか?普段会わなけりゃ、疎遠になるのは無理もないが、一般常識とも縁を切る必要はないのではなかろうか。

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